りつこの読書と落語メモ

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カム・ギャザー・ラウンド・ピープル

 

カム・ギャザー・ラウンド・ピープル

カム・ギャザー・ラウンド・ピープル

 

★★★★

おばあちゃんは背中が一番美しかったこと、下校中知らないおじさんにお腹をなめられたこと、自分の言い分を看板に書いたりする「やりかた」があると知ったこと、高校時代、話のつまらない「ニシダ」という友だちがいたこと…。大人になった「私」は雨宿りのために立ち寄ったお店で「イズミ」と出会う。イズミは東京の記録を撮りため、SNSにアップしている。映像の中、デモの先頭に立っているのは、ドレス姿の美しい男性、成長したニシダだった。第161回芥川賞候補作。

切り取られたエピソードがぽつりぽつりと展開していく。これらがどう繋がっていくのだろう?と首をかしげていると、最後に一ぶわーっと押し寄せてくる。

しわしわのおばあちゃんの意外にも美しい背中。おなかに張り付く男の顔の感触。膝におずおずと置かれた手の感触。
ああ…思い出すのも嫌な思い出が自分にもある。見たくない、思い出したくない、謝られるのだっていやなのだ。

人身事故で見た光景、雪虫という色彩的なイメージも見事で、読み終わって鳥肌。