りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

鈴本演芸場8月下席夜の部(4日目)

8/24(土)、鈴本演芸場8月下席夜の部(4日目)に行ってきた。

・門朗「道灌」
・小んぶ「幇間腹
・アサダ二世 マジック
・玉の輔「紙入れ」
・喬之助「夏泥」
・正楽 紙切り
・琴調「四谷怪談 お岩誕生」
・菊之丞「天狗裁き
~仲入り~
・ニックス 漫才
・扇遊「たらちね」
翁家社中 太神楽
・さん助「佃祭」

小んぶさん「幇間腹
テッパン。これを小んぶさんで初めて見た時の衝撃は忘れられない。確かテイトレコードで小太郎さんとの会だった。
え?小んぶさんが?え?こんな落語を?って驚いてすごく笑ったんだけど、あの時は「教わったまんまやってます」と言っていた。
あれ以来小んぶさんの落語はどんどん進化していっていて、ほんと面白いなぁ。
若旦那が凝った遊びの「カルテ取り」にはいつも笑ってしまう。最高。


琴調先生「四谷怪談 お岩誕生」
わーー。毎日違う話をしてくれてる!琴調先生、たまらない。
なんとこの位置で「お岩誕生」が聞けるとは思わなんだ。
絵が浮かんで鳥肌がぞわぞわ。
読み終わってから、お札をかっと掲げて去って行ったのが、すごくおかしくてかっこよかった。

菊之丞師匠「天狗裁き
羽織を着ている意味と脱ぐタイミングについてのまくら。
「普段こういうことは申し上げないんですが、本日はさん助さんのお客様ですから特別に」。
ぬおおお。もしや毎日通う私たちのために?(←都合のいい解釈)きゃー。

菊之丞師匠の「天狗裁き」はテンポとリズムがいいから聞いているうちに面白さが渦を巻いていく感じ。
この繰り返しの面白さはリズム感がいい噺家さんじゃないとなかなか出せないのかも。
スピード感があるからだれないんだなぁ。
天狗が出てきてからの展開も見事で、サゲでどかん!
かっこいい~。

扇遊師匠「たらちね」
たらちねがなぜこんなに迫力があって面白いのか。やっぱり人物の演じ分けなのかなぁ。
上下の振り方がぴきっとしていて、一瞬でも人が混ざる感じ?がないんだよなー。
この芝居、毎日扇遊師匠を近くで見ていて、表情の豊かさやキレの良さにハートを奪われっぱなし。

さん助師匠「佃祭」
3人の旦那衆が船を出して沖釣り。
船頭といっても宿の者がやっているのでお天気を見誤ることもある。
夢中になって釣っているといきなりの嵐に遭い船はひっくり返り気が付いたら見知らぬ島。
島の様子を見に行った船頭は「どうやらここは日本ではないらしい。真っ黒に日焼けした男たちがへんてこな恰好をしている」と。
どうにか話をつけて日本に送り返してもらおうと4人が島の人間の前に行って片言で話しかけてみるのだが…。

佃島のまくら、おかしい~。
でもそんなに慌てなくていいから。落ち着いて~(親目線)。
そんなまくらから「佃島」。

仕舞船に乗りそびれて引き留めた女に文句を言う治郎兵衛さん。
彼女が自分が3年前に身投げしようとしていたところを止めて命を助けた女だとわかると「ああ、すっかりいいおかみさんになって。だから私が言ったでしょう。生きていればまたいいこともあるって。あの時死んでいたら今みたいにはならなかったんだから」と満面の笑み。
ああ、ほんとにいい人なんだなぁというのが伝わってくる。
船頭をやってる亭主は言葉は乱暴だけど治郎兵衛さんのことをいつも女房と「命の父」と呼んで感謝していたことがわかる、気持ちよさ。

一方、治郎兵衛さんが死んだと思い込んだ近所の人たちのどたばたは落語らしくて面白い。
悔みを言いに行ってのろけを言ったりする人が多い中、一番心配されていた与太郎が「治郎兵衛さんだけは私のことをバカにしないで優しかったです」「あの治郎兵衛さんはどこに行っちゃったんですか」「治郎兵衛さんにもう会えないんですか」。
与太郎の純真さに涙が出る…。
また後日、人助けをしようと身投げを探して歩く与太郎さんもかわいくて…。
なんかこの噺の印象が全然違うんだな。

ちょっとわやわやしちゃった感じはあったけど、さん助師匠らしい楽しい「佃島」だった。
いやぁ…佃島で来るとは思わなかった。
5日目はなにをやるんだろう。楽しみ!!