りつこの読書と落語メモ

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国語教師

 

国語教師

国語教師

 

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十六年ぶりに偶然再会した、元恋人同士の男女。ふたりはかつてのように物語を創作して披露し合う。作家のクサヴァーは、自らの祖父をモデルにした一代記を語った。国語教師のマティルダは、若い男を軟禁する女の話を語った。しかしこの戯れこそが、あの暗い過去の事件へふたりを誘ってゆく…。物語に魅了された彼らの人生を問う、ドイツ推理作家協会賞受賞作。 

とても面白かった!

いわゆるイヤミスなのかと思って読み始めたのだがなんのなんの…。(この表紙にこのタイトルだったら…そう思うよなぁ…。)

16年ぶりに再会した元恋人同士の男女。クサヴァーは作家として成功をおさめ、マティルダは国語教師として一人で生きている。
大学で出会った二人。マティルダは作家の卵だったクサヴァーを陰ひなたなく支え、いずれは結婚して二人の子供を持つことを夢見ていたが、クサヴァーはそんな彼女を捨てて金持ちの女とスピード結婚し子どもをもうける。

お互いに送りあうメール(現在)、お互いに語り合う物語(過去の物語)、二人の物語(現在)、という構造が見事。「物語ること(フィクション)」がテーマになっているのでお互いに語り合う物語が現実とどうリンクしているのか、何をお互いに伝えようとしているのか、それを読み解く面白さ。

またマティルダとクサヴァーの人物造形も一筋縄ではいかなくて面白い。
構造、仕掛けの面白さはもちろんあるのだけれど、人間の多面性、誰かを愛し愛されることの不思議が際立っていて、そこがとても好きだった。