りつこの読書と落語メモ

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柳家蝠丸独演会 『いつのまにやら』第二回

6/28(金)、道楽亭で行われた「柳家蝠丸独演会 『いつのまにやら』第二回」に行ってきた。


・ふくびき「初天神~凧あげまで」
・蝠丸「ふたなり
~仲入り~
・蝠丸「応挙の幽霊」

 

蝠丸師匠「ふたなり
私は落語がとっても大好きなんです、と蝠丸師匠。
落語家なんだから落語は好きで当たり前だろ!とおっしゃるかもしれませんが、これが意外にそうでもないんです。落語に興味のない落語家って案外多いんです。
その点私は大の落語好きで、小学生の頃から落語を聞いたり本を読むのが好きでした。
だから噺家になって何がつらいって客席から落語を聞けないこと。もうほんとに客席で聞きたい。みなさんが羨ましくってしょうがない。ですから私の夢はいつか噺家をやめて客席に回ってきくことです。いつになるかわからないですけど、そちらに行きますから。その時は…仲良くしてください。
中学の時、自習の時間に読んでいたのが柳家つばめの「お色気落語の研究」。タイトルからもわかるように色っぽい噺やえげつない小咄を集めたもので、読んでいて思わず吹き出したりして先生に見つかって本を取り上げられちゃいました。
その後先生が教壇で本を読み始めたんですけど、時々ふふっと笑ってるのが見えまして…放課後になって返してもらえたんですけど「もっとすごいやつを持ってこい」って言われましたね。

それから高校に入ってからは落語好きが高じて落語研究会を作りました。あの時代に宮城の高校で落語研究会ですよ。かなり先進的だったんじゃないでしょうか。
問題は私のあとに入ってくる部員がいなかったことでして。しかも私はほかにもいろんな部活を掛け持ちしてたんです。フォークソング、テニス、など…。

フォークソングと言えば…私が若いころに流行っていたのがいわゆる和製ロックってやつでして。外国の歌の歌詞を日本語にして歌うんですよ。字余りになっておかしいんですけど、これがなぜか大流行しまして。まぁいまも寄席で時々「ルイジアナママ」なんて歌ってる変な噺家もいますけどね。歌いだすと前座が飛び出して行って踊ったりね…妙にキラキラした衣装を着たやつが出てきたり…。
それから次に流行ったのがフォーク。フォークの祖と言えば岡本信康。この人の作る曲はとにかく暗かった。きたねぇかっこしてね、髪の毛伸ばして、くらーい顔して歌うんです。「今日の仕事はつらかったぁ~♪」。
これね、私も高座が全然うけなかった帰り道、思わず歌ってますね。「今日の高座はつらかったぁ~」。
それから吉田拓郎とかね。あれも最初は暗かった。変わったのは「結婚しようよ」を出したくらいからですかね。それからユーミンが出てきてね。これはもう全然汚くなくてきれいで明るくておしゃれで…。
ってあれ、なんの話でしたっけ。

…もうまくらが楽しくて楽しくてずっと聞いていたい!
そして「今日は何をやろうかなぁと決めないで来ていていまだに決まらないんですが…でもずっとこれ(まくら)やってるわけにもいかないからね。そろそろ決めないとね。なんとなく今日のお客様は…めったにやらないような珍しい噺がいいかな、と思うのでね」と言いながら「ふたなり」。
うおおお!私も前に末廣亭で一度聞いただけだ。

なんでも安請け合いしちゃうかめじいさん。
村の若者二人が5両の借金で村を出ると聞くと、「おれに任せておけ」と安請け合い。
不気味な森を通らないといけないから提灯を持っていくように言われても「たいしたことない」と断ってしまう。

でもいざ森まで来ると「わしは実は怖がりなんだ」とびくびく。
森の中で会った女が死ぬつもりだと聞いて一生懸命止めるが、自分が死んだあと実家に書置きを届けてくれたら5両を差し上げます、と言われると「そっか。じゃおめぇさん、死んだ方がいいな」。

ブラックな噺だけど、蝠丸師匠の淡々とした語りだと、昔話を聞いているようでひたすらにおかしい。
楽しかった~。


蝠丸師匠「応挙の幽霊」
なんでも鑑定団のまくらから「応挙の幽霊」。
大好きな噺を大好きな師匠で聞ける幸せ。
幽霊が色っぽくて品があるけど、すごい飲みたがりなのがおかしい。道具屋の主人も気が良くて軽くて湿っぽいところは一切ない。
「あなた結構いける口だね」
「ええ。幽霊仲間ともよく飲むんです。お菊さんやお露さんと時々は集まって」
「幽霊の女子会ですか」
なんていうばかばかしいくすぐりもたくさんあって笑った笑った。
楽しかった~。