りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

国立演芸場6月上席夜の部

6/7(金)、国立演芸場6月上席夜の部に行ってきた。


・アサダ二世 マジック
・玉の輔「辰巳の辻占」
・小燕枝「ちりとてちん
~仲入り~
・ニックス 漫才
・菊志ん「粗忽の釘
翁家社中 太神楽
・今松「一文笛」


小燕枝師匠「ちりとてちん

淡々としているけどじんわりとずーっと楽しい。
ちりとてちん」を食べた金さんが、それまでとっても無愛想だったのに、口にしたとたん満面の笑みを浮かべてそれから「うえっぷ」とえづくのがおかしい。にっこり→こみあげてくる→えづく、の繰り返しに大笑いだった。
あーー、好きだー、小燕枝師匠の落語。楽しい。


今松師匠「一文笛」
空き巣に入られたことがあります、と今松師匠。
窓のガラスのところをきれいに切られて掛け金を外して家に入ったらしい。
落語の泥棒の噺でありますでしょ。新米泥棒が先輩に「いいか。泥棒に入ったときは逃げ道を用意しておくんだ。表から入ったら裏へ、裏から入ったら表へ」。まさにそれでした。表の窓から入って裏口から出て行った。ああ、落語も時々は本当のことを言ってるんだなぁ、って変なところで感心しました。

それからスリの話。
スリっていうのは技術職。仕事を見れば誰の仕業かわかるって言いますから、すごい。

そんなまくらから「一文笛」。
腕自慢のスリが元泥棒の兄貴分にあんなに腕があったのに辞めて堅気になるなんてもったいない、と話している。
そして自分は泥棒だけど貧乏人からは盗らない。金持ち、盗られても仕方ないような金の余ってるやつからしか盗らない、と言う。
兄貴分は「お前ずいぶん自信たっぷりに言うじゃねぇか。本当に困ってるかどうか、一目見ただけでわかるのか?金持ちそうに見えていくら財布が膨らんでいたとしても、今日この金を返さないと死なないといけなきゃいけないかもしれないなんてこと、わからねぇじゃねえか」と言う。

そして、昨日お前は俺の長屋で仕事をしただろう?と言う。
「いやそんなことはしない」と言うと、駄菓子屋で一文笛を盗んだだろう、と兄貴。
それから兄貴が話したのが、良かれと思ってスリがした盗みのせいで貧乏な子どもが不幸に見舞われてしまった、ということで、それを聞いたスリが…。

今松師匠らしく淡々とした語りなんだけど、まくらからサゲまで…過不足なく…でも十分すぎるほど伝わってくるものがあって、終わった後しばし茫然。ああ…いいなぁ…今松師匠の落語は。くさいところやいやらしいところが何一つない。笑わせてやろうとか意表をついてやろうとかそういう雑念がなくて、でも突き放すような冷たさはなくてじんわりと温かい。
よかったー。かっこよかったー。うまいこと言えないけど、ほんとに素晴らしかった。

小燕枝師匠と今松師匠の二席を聞けて、大満足。