りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

白酒・甚語楼二人会

5/29(水)、お江戸日本橋亭で行われた「白酒・甚語楼二人会」に行ってきた。

・きよひこ「狸札」
・白酒「真田小僧(通し)」
・甚語楼「愛宕山
~仲入り~
・甚語楼「普段の袴」
・白酒「木乃伊取り」


白酒師匠「真田小僧(通し)」
札幌、新潟の落語会に行ってきたというまくら。
「ありがたい限り」と言いながら言葉の端々に毒が混じっていて笑ってしまう。
新潟ではテーマを「ファミリー」にしているものでお子様のお客様もいるというのに噺家は気にせず「お見立て」なんかやってしまう。お見立てのどこがファミリーなんじゃ?と思っていると「俺たちはファミリーみたいなもんじゃねぇか」と無理やりなセリフが挟み込まれるというのにも笑った。
そんなまくらから「真田小僧(通し)」。
子どもがどんなに極悪なことを言っても、ふっくらした体型とニコニコ笑顔でなぜか許せてしまう。
白いお洋服を着たおじさんの一件では、父親がどんどん前のめりになってきて本泣きになるおかしさ。
最後は言われる前に10銭出しちゃう。
聞き飽きた噺だけど、スピードと勢いにつられて大笑いだった。


甚語楼師匠「愛宕山
京都は山が多いというまくらから「愛宕山」。
ああだこうだと御託を並べていた一八が覚悟を決めて山を登り始めたところ。
歌を歌いながら息が上がっていく様子を一八の歩いてる様だけで表してるの、すごい。汗をぬぐったり、表情がどんどん曇ってきたり、動きが鈍くなってきたり…。
お尻を押してもらってまた元気づくところも、後ろから押すしぐさと一八の元気になるところの対比。お尻のかさぶたを押されて痛いのと、痛くないところを押されてくすぐったいのの交互の反応。これがなんかリズムが良くて見ていて楽しくなる。あーやっぱりこの噺は音感がないとだめな噺なのかも。
旦那たちと合流したところでは、山の風景が見えきて涼しい風が感じられる不思議。
かわらけ投げも、端を欠いて投げて落ちて行く様子が見えるようで、楽しい。

落ちた小判を拾いに行きたくて傘を持ってどうにか落ちようとするところ。
怖い、行きたい、金がほしい、でも怖い、の葛藤がはっちゃけてて楽しい。
旦那が長吉に「押してやれ」と耳打ちするのも、本当に一八が落ちて行って、「ことによったら一八は最初からいなかったことに」と旦那がつぶやくのもダークな一面が見えておかしい。
お金を拾うところや縄をこしらえるところも、音楽を聞いてるようなリズムの良さ。
枝をしならせるだけしならせてびゅん!と上がって来たところも動きがあっておかしくて楽しかった~。
好きだー、甚語楼師匠の落語。楽しい~。


甚語楼師匠「普段の袴」
実は膝を痛めて相引を使ってます、という甚語楼師匠。
釣りをしていて転んで痛めたのだが、早朝だったことやその後GWに突入したこともあって、病院に行くのが遅れて、そのせいで長引いてしまっているとか。
今は30分座っているのが限界。それ以上はできない。先ほどの「愛宕山」はちょうど30分ほど。実は危ないところだった。いまさら言ってもしょうがないですが。
そんなまくらから「普段の袴」。
この、もう一席「軽い噺」のクオリティの高さと楽しさったら。
最初のお殿様に威厳があってかっこいい。それだけにそれを真似する男のがちゃがちゃしているのがおかしい。
大家さんのところに袴を借りに行って「おい、大家、いるか。大家、このやろう!」。
「お前が袴?祝儀、不祝儀か?」
「そうだよ、その祝儀不祝儀だよ!」
「どっちだ?祝儀か?不祝儀か?」
「祝儀不祝儀。両方だよっ!」

道具やで鶴の絵を「文鳥」と言われて「ちがうよー鶴だよ鶴!」。このあっけらかんとした確信の強さに大笑い。
楽しかった~。


白酒師匠「木乃伊取り」
テッパン。飯炊きの清蔵がもう白酒師匠にぴったりで楽しい楽しい。
お酒を飲んで酔っ払って芸者にお世辞を言われて手を触らせてもらって「楽しいっ!!」って叫ぶのがおかしい。
パワーあるなぁ。絶対に笑わせるパワー。おそるべし。