りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

夜のアポロン

 

夜のアポロン

夜のアポロン

 

 ★★★★★

濃厚な悪意の闇の中にきらめく、刹那の“生”と魅惑の“謎”―初期作を中心に書籍未収録の16篇を収めた、青春、犯罪、時代、暗号…バラエティ豊かな傑作ミステリ短篇集。 

「夜のリフレーン」と対をなす単行本未収録短編集。初期の作品が多く作者あとがきによれば「初期の頃の不出来な習作」とのことだけどなにがなにが…。

昭和の香りが漂うなか、男女の抜き差しならない仲や捻れた欲望や奇妙な友情や嫉妬、悪意、殺意…。
暗い話が多いが醜悪なものを描いていてもどこかに美しさもあるから読んでいて不思議と嫌にならない。

好きだったのは「冬虫夏草」「致死量の夢」「死化粧」「魔笛」。
最後の「塩の娘」に読者サービスを感じて感謝感謝。