りつこの読書と落語メモ

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私小説―from left to right

 

私小説 from left to right (新潮文庫)

私小説 from left to right (新潮文庫)

 

 ★★★★★

「美苗」は12歳で渡米し滞在20年目を迎えた大学院生。アメリカにとけこめず、漱石や一葉など日本近代文学を読み耽りつ育ったが、現代の日本にも違和感を覚え帰国を躊躇い続けてきた。Toreturn or not to return.雪のある日、ニューヨークの片隅で生きる彫刻家の姉と、英語・日本語まじりの長電話が始まる。異国に生きる姉妹の孤独を浮き彫りにする、本邦初の横書きbilingual長編小説。野間文芸新人賞受賞。

父親の仕事の関係で12歳の時に家族でアメリカに移住し20年目を迎えた大学院生の「美苗」。ニューヨークに住んで彫刻家として細々と暮らしている姉との英語交じりの長電話。

アメリカや英語に馴染みきれず、日本の近代文学を学び日本人であることを拠り所に生きようとするも、現代の日本にも違和感を感じる。

人種の問題や差別についての記述もリアルで「そういうことだったのか」と腑に落ちるところも多かった。

拗らせた人たちの愚痴という形態を取りながら、言語と思考、アイデンティティ、孤独についての深い洞察もあり、すごいものを読んだなぁという満足感。

今まで読んだ水村作品の中で一番読みづらかったが面白かった。