りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

にほんばし落語会 雲助一朝二人会

日本橋社会教育会館で行われた「にほんばし落語会 雲助一朝二人会」に行ってきた。

・朝七「初天神
・一朝「巌流島」
・雲助「妾馬」
~仲入り~
・雲助「夏泥」
・一朝「大工調べ」

朝七さん「初天神
出ました!おまいさんな前座さん。
しばらく見ない間にますます謎の落ち着きと貫禄が出て、悪い若旦那感もぐっと増してる!
初天神」もなんかとっても独自なカラー。なんだろう。金坊もおとっつぁんもちょっと黒い。でもそんなに作為的な感じはなくてむしろ淡々としてるんだけど、時々すごみがにじみ出てしまうような…。
金坊が小さな声で「洒落が通じねぇな」とつぶやいたのが妙におかしかった。
面白いなぁ。どんな二ツ目になるんだろう。楽しみだ。

一朝師匠「巌流島」
テッパン中のテッパンだけど最初から最後までわかっていても…いやわかっているからこその気持ちよさ。
若侍に「煙管の雁首を落としたから拾え」と言われた時の船頭さんのわざとのんびり答えるところ、船を漕いで岸から離れろと言われてはっと気づいた後の軽快な漕ぎ方、離れていく若侍に江戸っ子たちが嬉しくなって声をかけるところ、裸になった若侍が船に近づくところ、すべてが一つの音楽のようにテンポよく心地よく気持ちよくて楽しい~!

雲助師匠「妾馬」
雲助師匠の「妾馬」は初めて。
八五郎が口は悪いけど気持ちのいい人物。
「お鶴が大変なことになった」と聞いて「ずらかりやがったか?」、「およとりを産んだ」と聞いて「因縁じゃぁ仕方ねぇ。にわとりを産んだ?」、「お目録を頂戴できる」と聞いて「金?そりゃありがてぇ!じゃ行ってくる!」。
お屋敷に着いて声をかけても誰も出てこなかったときにものすごい大声で「おたてまつるよーー」には大笑い。
お酒を飲んですっかりいい気持になって居並ぶ女たちを端からぐるっと見て「笑ってやがる」と嬉しそうなのもとてもチャーミング。そこでお鶴に気が付いて声をかけるのが自然でとてもいい感じ。
妹に対する情もさっぱりしていてしめっぽくないのだけれど、涙がじわっと出て照れくさそうに鼻を抑えるところも素敵。
よかったー。やっぱり雲助師匠はかっこいいな。

一朝師匠「大工調べ」
最初から最後までほんとに気持ちのいい「大工調べ」。
この噺、前半がちょっとイライラしてしまうんだけど、一朝師匠のは前半もすごくいい。
棟梁が言葉数は少ないのだけれど、大家のことが苦手でめんどくさいと思っているのが伝わってくる。苦労人らしく最初は腰を低くしているのだが…それでもにじみ出てくる職人気質。その言葉尻を捉えて決して譲らない大家。
棟梁がブチ切れてからの啖呵の気持ちのいいこと!それも、どや!ってところが全然なくて、なにをー?と勢いでキレるのが気持ちよくてすかっとする。
お奉行様からいったんは厳しく言われるも、その後のお裁きのまた気持ちのいいこと。
そしてサゲ。くーーーっかっこいいーー。


いいないいな、この二人会。とっても贅沢。
次回は9月27日とのこと。