りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

トリック (新潮クレスト・ブックス)

 

トリック (新潮クレスト・ブックス)

トリック (新潮クレスト・ブックス)

 

 ★★★★★

プラハの貧しいラビの家からサーカス団に飛び込み、ナチス政権下を生き抜いた老マジシャンと、ロサンジェルスの裕福なユダヤ人家庭に育ち、両親の離別に悩む少年。壊れた愛を魔法で取りもどしたい―夢見がちな少年の願いは、拗ね者のマジシャンの心をついに動かし、一族の命運を変えた戦時下の「奇跡」をも呼び覚ます。持ち込み原稿を断わられ続けること10年、スイスの名門ディオゲネス社から刊行されるや、たちまちベストセラーとなり、17ヵ国語に翻訳された話題のデビュー長篇。

 

プラハの貧しいラビの家に暮らすモシェという少年の物語と両親の不和に悩むロサンジェルスに住む少年マックスの物語が並行して語られる。

マックスは父の持っていたザバティーニというマジシャンのレコードに「永遠の愛の魔法」というのがあるのを見つけ、その魔法をかけてもらえば両親が離婚せずに済むのではないかと考えザバティーニを探し出そうとする。

落ちぶれたマジシャンと夢見がちな少年が出会ったとき、明かされなかった過去が明らかになる。

背景にはホロコーストがあり、決して甘くはない物語だけれど、ユーモアがあってマジックの楽しさといかがわしさも香り、魅力たっぷり。

素晴らしかった。