りつこの読書と落語メモ

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活弁への招待 第五回

4/12(金)、日暮里サニーホールで行われた「活弁への招待 第五回」に行ってきた。


無声映画「太郎さんの汽車」(1929年横浜シネマ商会)説明=坂本頼光
無声映画「瘤取り」(1929年横浜シネマ商会)説明=坂本頼光 伴奏=清元延美幸
無声映画「血煙荒神山」(1929年 辻吉朗監督・大河内傳次郎主演)説明=坂本頼光 伴奏=清元延美幸
無声映画「サザザさん 第五話」説明=坂本頼光
~仲入り~
無声映画「鳥辺山心中」(1929年 松竹下加茂撮影所 冬島泰三監督・林長二郎(後の長谷川一夫)主演)説明=坂本頼光 伴奏=清元延美幸

 

無声映画「太郎さんの汽車」(1929年横浜シネマ商会)説明=坂本頼光さん
「電車の乗り方(マナー)」を子供に教えるための教育映画とのこと。
最初と最後が実写で、途中にアニメーションが入る。背景は絵でそこに切り絵を少しずつ動かしてアニメを作ったということだけど、味があっていい!
なによりも頼光さんの活弁が入ることで、古い映画が「いま」のものになるんだなー。
汽車の中の動物のやりたい放題を止める車掌の太郎さんがかわいい。

 

無声映画「瘤取り」(1929年横浜シネマ商会)説明=坂本頼光さん 伴奏=清元延美幸さん
伴奏が三味線というのがこの映画にとても合っている。というかおそらく伴奏が決まってから作品を選んでいるのかもしれない。
おなじみのこぶとり爺さんだが、絵もいいし、三味線が物語にマッチしていて、そこに頼光さんのユーモラスな説明が入るので、とても楽しい。
コブを取られるシーンに結構迫力があった。


無声映画「血煙荒神山」(1929年 辻吉朗監督・大河内傳次郎主演)説明=坂本頼光さん 伴奏=清元延美幸さん
清水次郎長物。
面白いなぁと思ったのは、次郎長と吉良の仁吉の二役を演じている大河内伝次郎。ハンサムで無声映画の時は大人気だったらしいのだが、トーキーになったら、東北弁の訛りが酷くて脇役に追いやられるようになった、とのこと。漫画みたいな話だなぁ。

任侠ものってどうも私にはあまり魅力を感じられなくて、やや目がうつろに…(笑)。

無声映画「サザザさん 第五話」説明=坂本頼光さん
待ってましたの「サザザさん」。いやもうこの第五話…最高…。あかんて(笑)。
頼光さんも「この後素晴らしい作品をやりますので。これ見てあきれて帰らないで…」と言っていたけど、確かに酷い。物置にあったふるーいインスタントラーメンを食べたタラちゃんのおなかが痛くなり下痢…なんてもんじゃなく、そこからおそろしい虫が出てきて…というストーリー。
なんでそんなものを食べさせたんだ?とみんなに責められるマツオさん。タマに「プロポーズに来た時から人間性に疑問を持ってた」って言われて「ええ?そんなにさかのぼるの?」って言ったのがおかしかったー。
めちゃくちゃ面白い。笑った笑った。

 

無声映画「鳥辺山心中」(1929年 松竹下加茂撮影所 冬島泰三監督・林長二郎(後の長谷川一夫)主演)説明=坂本頼光さん 伴奏=清元延美幸さん

原作が岡本綺堂
この映画では三味線だけでなく歌も入り、それがこの救いのない物語に彩を添える。

それにしてもひどい話や…。いじめやないかい。主人公には全く非はないのに、騙されて貶められてそれが原因で母親が自害。それに対して抗議することもできず、怒りに駆られて決闘し張本人を殺すことはできたけれど、自分も女とともに心中って…。えええー。
でも調べたら歌舞伎でやられているのとはストーリーが違っているような。 
最後まで見終わって頼光さんの活弁がどうだったという感想が全くなかったところを見ると完全に映画の世界に引き込まれていたのだと思う。

それにしても長谷川一夫のきれいなこと。びっくりするほど美しかった。