りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

末廣亭3月下席夜の部

3/26(火)、末廣亭3月下席夜の部に行ってきた。

・圓馬「粗忽長屋
・小助・小時 太神楽
・談幸「片棒」
・幸丸「新島八重伝」
~仲入り~
・紫「宮本武蔵伝 熱湯風呂」
・コント青年団 コント
・柳之助「家見舞い」
・歌春「子ほめ」
・南玉 曲独楽
・蝠丸「ふたなり


圓馬師匠「粗忽長屋
めちゃくちゃおもしろい!
粗忽長屋」はもう本当にかなりの数を聞いているけど、なんか圓馬師匠らしいリズムというか強弱から生まれるノリが、加速をつけておかしさを増していくので、聞いているとどんどん楽しくなっていく。
「こいつはくまだ」と思い込んでる男の確信の強さがぐわっと効いてくるので、すごくおかしい。
笑った笑った。

談幸師匠「片棒」
短い時間で3兄弟全員分!なのに全然足りなくない。なんでだ?!
剛毅すぎる長男にお祭り男の次男にどこまでもケチろうとする三男。
次男のとんとんとーんと流れるようなお弔いの描写に、父親が「お前…さては稽古してきたな?」には大笑い。
楽しかった~。


幸丸師匠「新島八重伝」
歴史に疎く大河も見てないので、新島八重がどういう人物なのか全く知らなかったのだが、とても面白かった。
一途で気が強くて周りを気にしない八重をわりと憎々しげに(笑)話されているんだけど、聞いていると八重の魅力が伝わってきて、もっとこの人について知りたいという気持ちになる。
時々挟み込まれるダジャレに気を付けないとそのたびに幸丸師匠がピクっと不機嫌になるので気が抜けないんだけど、面白かった。


紫先生「宮本武蔵伝 熱湯風呂」
初めて聞く話だった。
武道に長けていると人から尊敬されたり恐れられることも多いけど、恨みを買っているということもあるのだな。
閉じ込められた風呂場でお湯をどんどん熱くされその湯がどんどん溢れてきて風呂場の水位が上がっていくところで終わり。くーーー続きが知りたい!
それにしてもこの話どうしても「熱湯甲子園」を思い出してしまう。みなさんそんなことないのかな


柳之助師匠「家見舞い」
今まであんまりいい印象がなかったんだけど、なめらかな落語で面白かった。
ちょっと毛羽立った心を静められた感じ。

蝠丸師匠「ふたなり
楽屋にはいろんな人がおります、と蝠丸師匠。
若いころに昭和の名人と言われる人と同じ楽屋にいて話をしているところを見聞きできたことは財産ですね。
志ん生師匠と正蔵師匠が二人並んでね、話をしているのを見たことがあります。
そう言って、二人の地球以外の宇宙にも生物はいると思うか?という会話を物まねで。
楽しい~!!!蝠丸師匠って物まねもうまいんだねぇ。
それから楽屋には変わった人間が大勢いて、中でなんでも請け負っちゃう、なんでも俺に任せろという人がいる、円師匠はまさにそうだった。ものすごい言うことが大げさでね、ほらばかりで。でもそれが面白かった。

「今日は、めったにやられない噺をやりますよ」と蝠丸師匠。
「珍品中の珍品…めったにやらない噺って聞くと、面白くない噺なんじゃないの?と思った方が多そうですけどね…そうなんですよ。だいたいはね。でもこれはね、面白いし、よくできた噺だと思いますよ。私はね。」
そんなまくらから「ふたなり」。

「かめ爺」と呼ばれる亀右衛門さんの所に夜遅く猟師二人が訪ねてくる。
このかめじいがなんでも請け負っちゃう、俺に任せろ大船に乗った気持ちで、というのを地で行く人物。
二人が言うには、五両の借金が返せないから夜逃げをしないといけない。
それを聞いたかめ爺は「たった五両で夜逃げ南下するこたぁない。おらがあかんこ婆に行って借りてきてやる」と言う。
あかんこ婆のところに行くには天神の森を通って行かないといけない。あそこは狐狸が出て人を化かしたりして気味が悪いよと若い二人が言うと「今夜は月が出てるし何も怖いことなんかねぇ」と言って何も持たずに家を飛び出していくかめ爺。

1人になったかめ爺は「ああ…なんであんなこと言っちゃったんだろうなぁ。あかんこ婆も五両は貸してくれねぇだろうなぁ。それに天神の森。気味が悪いなぁ。おらほんとは怖がりなんだよなぁ」とぼやき節。
森に入って行くと若い娘に声をかけられる。
化け物じゃないかとびくびくしながら近づくかめ爺に娘は「自分は若気の至りで男といい仲になって1度ならずも二度三度と重ねるうちにお腹に子どもができてしまった。2人で逃げようと家を飛び出したが途中で男は逃げて行ってしまった。この上は死ぬしかない」と言う。
最初は「そんなことで死ぬこたぁねぇ」と説得にかかるかめ爺だったのだが、娘が自分が書いた書置きを実家に届けてくれたら五両差し上げますと言うと急に態度を変え「んだな。おめぇは死んだ方がいいな。じゃ死ぬのを手伝ってやる」。
首をくくるのが良かろうと木の枝に縄をかけて踏み台に昇ってやり方を教えていたかめ爺だったが、思わず踏み台を蹴ってしまい、自分が縄にぶら下がる羽目に。
それを見た娘は「死んだらこんなになっちゃうのか。やだわ。やっぱり死ぬのやめよう。書置きはいらないからこの爺さんの懐に入れちゃえ」とかめ爺の懐に書置きを入れると逃げてしまう。
いつまでたっても帰って来ないかめ爺を心配して二人が森へ入ってみると首をくくって死んでいるかめ爺。
役人を呼んでくると役人は懐の書置きに気が付いて…。

…うおお、蝠丸師匠の語り口だから昔話っぽくて嫌な感じは全然ないけど、確かにこれはかけにくい噺かも(笑)。
楽しいなぁ。こんな珍しい噺を聞けるなんてほんと幸せだー。
この芝居はマニアックな雰囲気が漂っていて師匠も幕が下りるときに「明日もまた違う噺をしますのでお暇ならいらしてください」と言ってくれるので、通いやすい(笑)。また明日も行っちゃう!