この世にたやすい仕事はない
★★★★★
「一日コラーゲンの抽出を見守るような仕事はありますかね?」ストレスに耐えかね前職を去った私のふざけた質問に、職安の相談員は、ありますとメガネをキラリと光らせる。隠しカメラを使った小説家の監視、巡回バスのニッチなアナウンス原稿づくり、そして…。社会という宇宙で心震わすマニアックな仕事を巡りつつ自分の居場所を探す、共感と感動のお仕事小説。芸術選奨新人賞受賞。
ありそうでなさそうなお仕事を転々とする女性が主人公。
最初は「こんな仕事が?」とはてなでいっぱいだったが、読んでいるとその感じわかるなーと思う。
仕事をしている中で、自分が何となく心もとなくなっていったり、のめり込んで行ってまずい感じになりそうな感じがリアルで、仕事ってそうなんだよなーと思う。
最初は頼りなく思えた主人公が徐々に芯を見せてくるところが素敵で一作ごとに焦点が定まっていく感じ。面白かった。
津村さんは文章がいい!