りつこの読書と落語メモ

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さん助 燕弥 ふたり會

3/9(土)、お江戸日本橋亭で行われた「さん助 燕弥 ふたり會」に行ってきた。

・市松「牛ほめ」
・燕弥「短命」
・さん助「鮫講釈」
~仲入り~
・さん助「鴻池の犬」
・燕弥「茶の湯


さん助師匠「鮫講釈」
船の仕事から帰ってきたばかりのさん助師匠。
最初は面が割れてなかったから良かったんだけど、高座に上がってからは大浴場で「あ、さっき落語やってた人ですよね?高座を見た時は年寄りだと思ったけど意外と若いんですね」等と声をかけられることも増えて、しんどかった…。芸能人の気持ちが少しだけ分かった…。
そして船の食事はフルコース。噺家仲間から、船を降りた時は「日高屋のたんめんが食いたくなった」だの「俺は餃子チャーハン」だのと聞いていて、自分は降りたら何を食べたいと思うだろうとわくわくしていたんだけど、実際に降りた時はもう何も食べたくなかった…。
船酔いはしなかったけど降りてから今酔ってる…。今日浅草の代演に行ってきたんだけど、座布団の上に座ったら頭がぐらぐらしていて、「長短」をやったんだけどまんじゅうを食べてるところでなんかぼーっとしてきてお客さんに「そろそろ飲みこめ!」と声をかけられてしまった。

…ぶわははは。
さん助師匠が船の仕事に行くと聞いて「だ、大丈夫?」と心配していたけれど、思っていたより元気でほっとした~。
そしてこういういろんな経験がきっと芸のこやしになっていくのね…と。

そんなまくらから「鮫講釈」。
この噺を選んだのって、トメ公が「俺は船は嫌いだ!」と叫ぶから(笑)?
最初に鈴本で聞いた時は講釈の部分の下手さがあまりにもあまりで客席が不穏な空気になっていたけど、見るほどによくなってきてる(←上から目線。すびばせん!)。
普通にやっても下手なんだから普通で十分!(←ひどい)

さん助師匠「鴻池の犬」
ほんとは先ほどの高座でやらなきゃいけなかったのに、上がった途端にそのことをケロッと忘れてしまってた、とさん助師匠。
この間ドッポで聞いた「鴻池の犬」。
いい!なんでこの噺がこんなに泣けるんだ?不思議すぎる。

一人大阪を目指して旅するシロと一緒に旅をするおかげ犬。
いろんなことを教えてくれて気遣ってくれて何度も「お前も一緒に伊勢へ行こう」と誘ってくる。それでもシロの身の上話を聞くと「兄貴に会えるといいな」と心から応援してくれる。この二匹が別れるシーンは涙が…。なんでフツウの人情噺で決して泣かせるようなことをしないさん助師匠が、犬の別れはこんなに情感たっぷりなんだ。しかも最初は「さよなら」って擬人化した表現なのに最後の「ふん」っていうのは明らかに獣の吠え声。これで決してきれいとはいえない二匹の姿がふわっと浮かび上がってくるのだ。

今回はサゲを間違えなかったっぽい?でも「しーこいこい」じゃなく「黒こいこい」になってたのはわかりやすかったのかそうでもなかったのか。むむむ。

燕弥師匠「茶の湯
微笑み交じりに高座にあがって「いやぁ…鴻池の犬ってああいう噺でした?」「人情話じゃん!」「さん喬師匠直伝らしいですよ。でも…あんな風にやってたかなぁ?」。
「さん喬一門の中であの人が一番師匠に似てないって思っていたんですけど…なんかところどころ師匠を感じるところがあったのが不思議でしたね。面白いもんですね。私も自分が一門の中で一番師匠に似てないって思ってたんですけど、寄席で”猫と金魚”をやったときに…それも師匠に教わったわけじゃなく甚語楼兄ぃに教わったんですけど、それを金馬師匠が聴いていてくださって”師匠に似てるな”って言われて…嬉しいようなそうでもないような複雑な気持ちになりましたけど。面白いもんですね。師弟って」

…あーー燕弥師匠のこういうところが大好き。優しいよなぁ…。
芸風が全然違う二人だけど、さん助師匠が燕弥師匠を慕う気持ちがよくわかるなぁ。包容力があるっていうかまなざしが優しいんだわ。

そんなまくらから「茶の湯」。
「青きなこ」「むくの皮」「ともし油」を買ってくる定吉に「お前は物知りだな」と心の底から感心しているご隠居のかわいらしさ(笑)。
そしてご隠居も定吉も長屋の3人もみんな少しずつ変な人なのがおかしい。
え?燕弥師匠ってこんなだったっけと驚くほど、弾けた「茶の湯」。やってる師匠も楽しそうだし、聞いていてとても楽しい。

弾けた「茶の湯」楽しかった。