りつこの読書と落語メモ

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鈴本演芸場3月上席夜の部

3/5(火)、鈴本演芸場3月上席夜の部に行ってきた。

・二楽 紙切り
・菊之丞「替り目」
・ストレート松浦 ジャグリング
・雲助「つづら」


二楽師匠 紙切り
お客様から「縄文時代」の注文で切り始めた二楽師匠が「あらかじめ言っておきますけど、じゃ次は弥生時代、という注文は受け付けませんよ」。
ぶわはははは!最高!


菊之丞師匠「替り目」
ノリノリの弾むような高座で楽しい楽しい。
こんなに聞き飽きた噺なのに楽しくて笑いどおしだった。
「お寝なさいと言うからこっちは意固地になるんだ」と言う旦那に言われた通りに「いっぱいいかが」と言った女房に「じゃもらおうか」。
そう言われた女房が「いんちき!」と言うと旦那が「そう!いんちき!いんちきなの!」と答える、その表情と絶妙な間。
女房がおでんを買いに出かけたと思って一人語りを始めた旦那が「どーーもすみません」と鼻声になる…その言い方と絶妙の間。
菊之丞師匠ってきっと音感がすごくいいんじゃないかな。気持ちのいい音楽を聞いてるような…体から喜びが湧き上がってくるような楽しさだった。


雲助師匠「つづら」
ネタ出しされている今回の芝居。聞いたことのない演目だったのでぜひとも聞きたかった。

「着ている着物が汚い」といじめられて帰って来た子ども。
母親のお兼は「ちょうどこれをお前に縫っていたんだよ」と言って新しい着物を差し出す。
息子はとても喜んで「これ着てもう一度遊びに行ってくる!」と出かけて行く。その姿を見て「これでよかったんだ…」とつぶやくお兼。
そこに亭主が帰ってくる。博打で義理の悪い借金をしてしまった亭主。鬼熊というやくざ者が毎日のように仕事場や友だちの所にまで借金の催促に来るからもう誰も金を貸してくれない。
「今日鬼熊は来たかい?」と聞くお兼に「それが不思議なことに今日は来てない。この間まで金を返せないならお前(お兼)を売れとまで言っていたのに、何を企んでいるのか気味が悪い」と言う亭主。
どうにもしょうがないから成田の叔父さんの所に行って金を借りてくるから2,3日留守にする、と言う亭主を「家のことはあたしが守るから」と送り出すお兼。
亭主が長屋を抜けて行こうとすると声をかけるおばさんがいて、話があるから上がってくれと言われ、茶を出される。
最初は言い淀んでいたおばさんだが請われて言うには、お兼が間男している、と言う。しかも相手は伊勢屋の旦那。
そんな馬鹿なと最初は信じなかった亭主も、自分が留守の時に旦那がこっそり家に来ていると聞き、おばさんの家で待ち伏せをすることに。
そんなこととは知らないお兼のもとに伊勢屋の旦那が訪ねてくる。
出された酒を飲みながら、お兼の手荒れした手や作った煮物を褒める旦那。
自分は女房に先立たれて以来女気はなかったが、まさかこんなことになるとは…悪いことだとはわかっているかそれでもこうなってしまったのも縁だ…と言う旦那に、「いろいろありがとうございます」と頭を下げるお兼。
そこへ血相を変えた亭主が「開けろ!」と帰ってくる。
慌てて旦那をつづらの中に隠すお兼。
亭主はすぐにこのつづらの中に男が入っていることに気づくのだが、お兼はそんな亭主に向かって「なぜ今日になって鬼熊が来なかったのか。金を返したからだとは思わないのか」と言う。
そして自分のことは気のすむまで殴っても構わないが、つづらだけは開けてはだめだ、そうしたら今度はあたしは美人局になってしまう、と言う。
事情を察した亭主は「わかった。このつづらは絶対に開けない」と言い「でも俺はやりたいことがある。決して手荒なことはしないから」と言ってつづらを背負って伊勢屋へ…。

まず、お兼が縫物をする手つきが本当にきれいなのに目が釘付け。ああ…ものすごく所作が美しいんだ、雲助師匠は。
借金を返すためにはこうするしかないと考えたお兼。義理の悪い借金をしてどうにもならなくなった亭主。そしてお兼に夢中になって道を踏み外してしまった旦那。
それぞれのキャラクターがくっきりしていて誰の気持ちも理解できるからたまらない気持ちになる。
だけど後半の展開が落語っぽくてちょっとおかしい。
ぐわっと涙ぐみながらも、わはははと笑ってしまう。
この間の浅草見番の会もそうだったけど、落語の奥深さをまざまざと見せつけられた感じ。しかも全然大仰じゃなく。
来てよかったー。すばらしかった。