りつこの読書と落語メモ

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女の一生

 

女の一生 (新潮文庫)

女の一生 (新潮文庫)

 

 ★★★★

修道院で教育を受けた清純な貴族の娘ジャンヌは、幸福と希望に胸を踊らせて結婚生活に入る。しかし彼女の一生は、夫の獣性に踏みにじられ、裏切られ、さらに最愛の息子にまで裏切られる悲惨な苦闘の道のりであった。希望と絶望が交錯し、夢が一つずつ破れてゆく女の一生を描き、暗い孤独感と悲観主義の人生観がにじみ出ているフランス・リアリズム文学の傑作である。 

いわゆる「名作」と呼ばれる作品を中学生~大学生の頃に結構たくさん読んでいる。昔から本が好きだったというのもあるけど、本をたくさん持っている叔父さんがいて物置に文学全集のような本をたくさん仕舞い込んでいて「好きなの全部持って行って」と言われて、せっせと家に持って帰っては訳も分からずに読んでいたのだ。
女の一生」もやはりそのころに読んで「なんかすごい話だなぁ」と思った記憶がある。
当時そういう本を読み漁っていて、全てをきちんと理解できていたわけではないけれど、名作といわれるものは、いわゆる優れた人間や道徳的な物語を描いた作品のことを指すのではないということは体感していた。

女の一生」は1883年の作品。
善良な両親に守られ何不自由なく育ったジャンヌが恋に落ち純粋無垢なまま結婚するが、夫になった男の獣性、狭量、度重なる浮気に愛情を失い、自分の情熱を今度は生まれてきた子どもに注ぐものの、甘やかして育てた息子は金を無心するときにしか連絡をして来ず、気づけば財産を失い途方にくれる。

これが「女の一生」ですよ、と言われると、なんて悲惨な人生なんだと憤りを感じるが、ジャンヌにも幸せな瞬間がなかったわけではない。
例えば夫になるジュリヤンと出会ったばかりの頃。
結婚生活が始まってからは失意の連続ではあったけれど、時にはジュリヤンをやり込めたり、その吝嗇ぶりを両親と笑い飛ばしたり…。
息子が生まれてその可愛らしさに今までの苦労も吹き飛び愛情を注いだり…。
希望を感じた瞬間もなかったわけではないけれど、結果的には全てに裏切られ絶望することになる。

時代的なこともあって、「女性」として常に受け身でいるからこうなってしまったのだと思う一方、今の時代にあってもそのような不自由さが全くなくなったわけではないのだとも思う。どうあがいてもどうにもならないこともある。

失ったものに目を向けるのではなく手に入れたものを見つめるロザリの鈍感さと逞しさが印象に残った。