りつこの読書と落語メモ

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抱擁/この世でいちばん冴えたやりかた

 

 ★★★★★

現代最高の物語作者の傑作二冊を合本にして初文庫化!第一部「抱擁」は二・二六事件の翌年、東京駒場の前田侯爵邸で起こる謎に満ちた事件を描くゴシック・ミステリ。第二部「この世でいちばん冴えたやりかた」には中国と日本を舞台にした奇譚の数々、七篇の名品が並ぶ。著者の代表作『遊動亭円木』の外伝三作をはじめ、表題作は天安門事件を背景にした奇想あふれる「黄河水源踏査行」の物語。

「抱擁」は以前読んだことがあったのだが、再読してまた印象が変わったような。
解説を読んでなるほど「ねじの回転」か!と。あれも読むたびに印象が変わる作品なのだよなぁ。

どの作品も息苦しくなるような濃密な空気というか湿度があって、逃れられないような気持ちにさせられる。追いかけられる夢を見ていて「ああ、もうだめだ」と観念して力が抜けるような感じ。

「この世でいちばん冴えたやりかた」は谷崎作品を思い出させる空気感。盲目の落語家や文盲の女、刺青師、邪悪な男。後味のいい話ではないけど面白い。文章が美しくて読んでいてとても楽しかった。