りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

少女たちは夜歩く

 

少女たちは夜歩く

少女たちは夜歩く

 

★★★★★

狂気の恋に落ちた女子高生、奇妙な絵の修復を依頼された女、不治の病に冒された男、謎のケモノと出会った少年、死んだ人間が見える女…街の中心にある城山の魔界にからめとられ、闇に彷徨う人々。悪夢を見た彼らに救いの時は訪れるのか―ミステリーからホラー、ファンタジーまで越境する魔術師・宇佐美まことの到達点!

面白かった。とてもよくできた連作短篇。構成の妙。

どの話も身につまされてとても他人事とは思えない。
杏子の狂気にも似た執着心。環が修復している絵に見た過去と未来。戸川が入院した711号室で教えられ夫の真実。

人間はほんの小さなことで我を失い狂気にとらわれてしまう。そして見えないはずのものが見えるようになってしまうのも実は簡単なとこなのかもしれない。

怖いけれど怖いだけではない切実さがあって好きだった。