りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

柳家小三治一門会

12/21(金)、関内ホールで行われた「柳家小三治一門会」に行ってきた。


・一琴「道灌」
・〆治「佐々木政談」
~仲入り~
小雪 太神楽
小三治「錦の袈裟」

小三治師匠「錦の袈裟」
出囃子が鳴るのが早過ぎたのか、最近小三治師匠の登場に時間がかかるせいか、座布団に座る前に出囃子が鳴りやんでしまって苦笑い。

開口一番「今日はなんでいらしたんですか」。
「なんでそんなことを言うかっていうとね、今日はだめです」と小三治師匠。

この年になるとあちこち悪くなって…人からそういう話を聞くと、「ああ、そうだな」「わかるなぁ」と思ったり励まされたりするんですけど、自分が話すとなると…愚痴になっちゃうからね。こういうことを愚痴じゃなく面白く話せるようになりたいけどね。この年になっちゃったからもうだめなんでしょう。
そう言いながら話しますけど。昨日手術してきて…それに4時間かかちゃったもんだから…。

…ええええ?手術??まさかまた頸椎ってことはないよね?と思っていたら、なんとこれがインプラント
インプラント知ってますか?」と言って説明を始めて…「ああ、でもこんなふうに丁寧に説明してたらまた長くなっちゃう」と言いつつ…でもとてもわかりやすい説明。
「これでもわからなかったら…もう諦めて下さい」。

私はね、麻酔がなかなかかからないんです。体質なんですかね。あるいは、そんなもんにだまされてたまるか!っていう気持ちが強いんですかね。きっとそうなんでしょう。
今回のインプラント、初めてじゃなかったんですけど、初めてした時にね、結構偉い教授がやってくれたんですけど、何本打っても全然麻酔が効かない。
5,6本打ちましたかね。それでどうするのかと思ったらね。
「もう麻酔はやめましょう」。
えええ?麻酔なしでやるのかよ?って思ったんですけど、江戸っ子ですから。やせ我慢ですよ。「ああ、やってくんねぇ!!」って。
で、メスを出してきたんですけど、これがね…ふつうメスっていったらナイフみたいな形状のものを思うでしょ?それが違うんですよ。鉞みたいなものを出してきやがってね。それで麻酔が効いてない状態であごの骨のところまで切るんですから。
痛いの痛くないのってもう…「ああーーーだめーーーいたいーーー」って…濱っ子なら言うところですよ。

いやでももうこれは本当に痛かった。もう二度と麻酔なしで鉞はいやだ!って思いましたよ。

それで昨日ね。昨日もやっぱり麻酔が効かないんですよ。でももう前回のことがあるからあれは嫌だ!って思ってたらですね。ようやく6本目ぐらいでしたかね、効いてきました。効いたんですよ、麻酔が!
結局そんなこんなで4時間かかったんです、手術。
でも麻酔が効いたって言ってもね、あごの骨のところまで穴開けるんですから。痛いですよ。

そして昨日あんなに効かなかった麻酔が今頃になって効いてきた…。

…ぶわはははは。
もうまくらが止まらない小三治師匠。

「今日は調子がいいな。あ、調子がいいっていうのはね。こうやって話してると、ああれもあったこれもあったってどんどん沸いてくる。話したいことが。でもこれやってるとどんどん長くなる。あ、今日やりますよ、落語みたいなもんもね。それを聞きに来たんでしょ。やります、落語みたいなものもね。」

自分で言いながら「あんまりだな」と言ってぷっと吹きだすのがおかしくて、言いたい放題言ってる師匠がかわいくてたまらない。

それからクジラの話。
戦後、食べるものがない時代にクジラは貴重なタンパク源だった。
買い食いや外食を決して許してくれなかった母親の目を盗んで父親が買ってくれたクジラベーコン。新聞紙に包んだそれを父がポケットに入れて、二人でそこに手を突っ込んで歩きながら食べた思い出。
かわいそうだっていう気持ちもわかる。でもそれを言うなら牛だってかわいそうだよ。
反対する人を批判する気はないけど…と言いながら…師匠の言いたいことわかる!と思った。

あと最近はあまりサインを書かなくなりましたけど、私が最近書くのは「如遊」。これ何て読むんですかと聞かれますが「あそぶがごとし」です。
一生懸命修業するのだって、いろんなことから逃げて生きるのだって、最後は「遊ぶが如し」ですよ。「遊」っていうのは悟りの先に行きつく境地。

…実は私、小三治師匠のサイン持っているのだ。
ご本人から直接いただいたわけじゃなく、とある落語会の新春プレゼントに毎回応募していて何年目かに当選!これが届いた時は嬉しかった~。今も私の宝物。
これどういう意味なんだろうと思って調べたり、きっとこういう気持ちで書かれたんだろうなと想像していたんだけど、師匠から直接その話が聞けてとてもうれしかった…。

そんな長いまくらから「錦の袈裟」。
小三治師匠の「錦の袈裟」、久しぶり!
与太郎がとってもかわいい。そして町内の連中が錦のふんどしが1本足りないってなって「与太郎はいいよ」と言うのを「だめだよ、与太郎だって町内の仲間なんだから」ってさらりと言いかえすところ、いいなぁ。

恐妻家の与太郎が家に着いて「おじゃましまーす」と言うのもおかしいけど、おかみさんに「吉原に行ってもいい?」とお伺いを立てるのも、おかみさんが「ばかだねこの人は。吉原に行っていい?っておかみさんに断って行く人がありますか!」とあきれるのもおかしい。
袈裟の輪を「高貴な方のしるし」と思い込んで訳知り顔に「あの方がお殿様だよ」と他の花魁に説明する年上の花魁にも大笑い。

楽しかった!また聞きたいな、小三治師匠の「錦の袈裟」。