りつこの読書と落語メモ

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インヴィジブル

 

インヴィジブル

インヴィジブル

 

 ★★★★

 はじまりは一九六七年のニューヨーク。文学を志す二十歳の青年の人生は、突然の暴力と禁断の愛に翻弄され、思わぬ道のりを辿る。フランスへ、再びアメリカへ、そしてカリブ海の小島へ。章ごとに異なる声で語られる物語は、彼の人生の新たな側面を掘り起こしながら、不可視の領域の存在を読む者に突きつける―。新境地を拓く長篇小説。

面白かった。物語がどういう方向に進んでいくのか、どれが真実でどれが虚構なのか危ぶみながら、またそれを楽しみながら読んだ。

ボルンの人物像がなんともいえず不穏で、彼の背後に匂わされる悪と暴力が不気味だ。

ボルンは本当にアダムが思う通りの人間だったのか。アダムが書いたことは全て本当のことなのか、あるいはフィクションなのか。アダムにこの物語を託された人物はこの物語をどう扱ったのか。そして「インヴィジブル」というタイトルの意味は…。

1つの物語として読んで「面白かったー」と閉じた後に、いろんな「?」が残り、不安な気持ちになってくる。

結局人間は自分が見たものと自分が信じたいものしか信じないし、自分が理解できる範疇でしか物事をとらえることはできないのかもしれない。