りつこの読書と落語メモ

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なぜ柳家さん喬は柳家喬太郎の師匠なのか?

 

 ★★★★

人気師弟初の対談本!落語界きっての人気師弟が、初めてじっくり語り合った! 

タイトルからし喬太郎師匠の方が師匠より売れていることを匂わせていて失礼な気がしてしまうのだが、さん喬師匠はそんなこともう慣れっこなんだろう。
若い頃は師匠にも葛藤が多かっただろうなと思うが、この才能を潰してはいけないと、出来るだけなにも言わないようにして育てたというのが凄い。
そして明らかにさん喬師匠も喬太郎師匠を弟子にしたことで芸が磨かれて今のさん喬師匠になっているということをご本人もおそらく自覚していて、それもすごいなと思う。

ほとんど口を出さないというさん喬師匠が「あぶねぇ」と思って口を出したのが、お客さんを意識しすぎて自分を見失っているように見えたから、というのもすごいなぁ。
その場その場で自分が呼ばれた意味を考えて落語をやれと言う一方で、お客さんや企画のために落語をやっていてはいけないとも言う。
さん喬師匠自身も、さん喬には人情噺と呼ばれるようになって自分でもそれをお客さんや主催者が求めていることがわかるからそれをやりながらも、自分は滑稽噺の方が好きでそちらのほうがうまいと自分では思っている、というのも面白い。

矛盾を抱えながら、その都度こっちに傾いたりあっちに傾いたりしながら、最終的には自分の芸を磨いていく。
それが何も知らない素人でも見ていてなんとなく伝わってくるから、その複雑さや葛藤が面白くて何度も足を運んでしまうのかもしれない。

一門会を見に行くと、お弟子さんたちが実に伸び伸びしていて、ふざけるときは思いきりふざけていて、そうできる雰囲気があるのだと思う。

そしてさん喬師匠が語る小さん師匠の素敵なこと!
小さん師匠は、弟子が語る言葉を聞くほどに好きになる。こんな風に語られる師匠は本当に師匠冥利に尽きるだろうし、そんな風にして師匠の教えが伝えられていくというのは素晴らしいことだと思う。

個人的には大好きなさん助さんや小んぶさんの名前が師匠の口から出てきたのが嬉しかった~!