りつこの読書と落語メモ

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国立演芸場11月上席昼の部 柳家さん若改め柳家小平太真打昇進披露興行

11/8(木)国立演芸場で行われた「11月上席昼の部 柳家さん若改め柳家小平太真打昇進披露興行」に行ってきた。
何日か前に小傳次師匠がtwitterで口上の司会をさん助師匠がやる!とつぶやいていて、それを見た時から「ええええ?だだだだいじょうぶ?なぜさん助師匠が司会?」とざわざわしていたんだけど、会場に着いて落語の友だちと顔を合わせたらだれもが同じように心配していて笑った。

・市若「牛ほめ」
・伊織「寄合酒」
・さん助「黄金の大黒」
・一風千風 漫才
・小傳次「唖の釣り」
・左龍「棒鱈」
~仲入り~
・真打昇進披露口上(さん助、小傳次、小平太、さん喬、左龍)
・小菊 粋曲
・さん喬「天狗裁き
仙三郎社中 太神楽
・小平太「幾代餅」


伊織さん「寄合酒」
たいていいつ見てもこの噺でうまいとは思うけど、暗いなぁ…。なんでこんなふうに陰気にやるのかなぁ。陰気だから最後の犬をぶち殺してというのがシャレに聞こえない。しかもサゲで殺した犬をみんなで食おうじゃないかってさらに追い打ち。なぜ。


さん助師匠「黄金の大黒」
さん助師匠が話し始めて、おおっ!これは「黄金の大黒」じゃないか!と嬉しくなる。この噺、大好きなんだよね。特にサゲがかわいくて好き。そうか、お披露目のめでたい席だからこの噺!そういうこともできるんだ?!(←失礼)

大家が呼んでるから店賃の催促だろうと長屋の連中が集まってわいわい。
「どれぐらい溜まってる?」と聞かれた男が、あごを突き出して「うぃーー」と意味の分からない奇声を上げるのがおかしい。
そしておまんまをしばらく食べてない金ちゃん。「ごちそうっていうのはあれですか。普段食べられない、おいしくて珍しいものがいただけるんですか。ごはんの上にぱらぱらっと鰹節をかけて、その上からお醤油を…」って、一番のごちそうがねこまんまのかわいさ…。
食べられると聞いて大喜びの金ちゃんが、羽織の件で一喜一憂するのが、わかってるんだけどばかばかしくて笑ってしまう。
またその中のセリフで「そうだよ。口上の司会することになってるから気が気じゃないんだよ」とあって笑う。わはははは。

口上が得意と言って一番に飛び出していった元雑技団のくまさんの「とざいとーーざい」の声の堂々としているのに大爆笑。口上司会の不安をこの大声で爆発させた?
2番目に指名された金ちゃんが「まだ一回しか聞いてない」「稽古に稽古を重ねてから行きたい」と言うのも、司会を仰せつかってしまったさん助師匠の心の叫びにも聞こえてまたおかしい。
残念ながらみんなで大家さんの家に上がるところまで。近所の犬も祝いの席に参加したのは、さっき食べられたブチの意趣返しかな。

真打昇進披露口上(さん助師匠:司会、小傳次師匠、小平太師匠、さん喬師匠、左龍師匠)
司会のさん助師匠、とてもとても緊張していて、目がいっちゃってる(笑)。
でもとてもちゃんとしてた!最初から最後まで真剣そのものですがすがしいとさえ思ったのはファンのひいき目か?
口上では、さん助師匠が小平太師匠は自分の下の弟子だったけど年上で、でもなんでも素直に聞いてくれて仕事もできるので、ある時から全部やってもらうことにして、おかげで自分もどうにかなった、と。また最近小平太師匠の高座を袖で聞く機会があってその時「替り目」をやっていたんだけど、ある時点からそこには小平太師匠ではなくよっぱらいのおじさんがいて、こんなにもなったのかと感動して泣きそうになった、と。

さん喬師匠は、兄弟子たちが言うように小平太は年をとって入門してきたけど、ただ年をとっていただけじゃない、それだけの経験も積んでの入門だった、ということ。上と下をつなぐ要の役を担ってくれているのだ、ということを。また、木になっている柿は外から見ただけでは甘いか渋いかわからないけど、烏は甘い柿しかつつかないように、そうやって味が出てくるのはこれから。またそれはお客様が作ってくれるものでもある、と。
さん喬師匠が「こうして一門だけで口上の席に並べるというのは本当に幸せなこと」としみじみおっしゃっていたのが印象的だった。


小平太師匠「幾代餅」
清潔で純情であたたかい「幾代餅」。
ところどころにさん喬師匠っぽさが漂うのがとても微笑ましく…でも小平太師匠の素朴さや軽さが独自で、この噺がちゃんと小平太師匠のものになっていて、素晴らしいと思った。

「今度いつ来てくんなますか」と幾代に言われた久蔵がその言葉を真に受けて「そんなことを言って下さるんですか」と感激して「実は私は若旦那ではなくて職人です」と告白するところ。心情を激しく吐露するところが私は結構苦手で「あちゃーー」と恥ずかしくなってしまうんだけど、小平太師匠のはそんな風に恥ずかしく感じなかった。不思議。

それにしても…さん若さんのときから良かったけど、やっぱりこうして真打になると全然違っていて、なんだろう…それまできちんと積み上げてきた人っていうのは真打ちになったらこうやってご褒美のように「化ける」んだなぁ、と思う。
そう考えると、落語家の階級制度ってすごくよくできてるなぁ…。
でもこうやって次々新しく真打が登場して次々化けてしまうと、寄席に若手が定着するのってほんとに並大抵のことではないなと思う。