りつこの読書と落語メモ

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六月の雪

 

六月の雪

六月の雪

 

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祖母のふるさと、台南への旅が私の人生を変える 7日間のひとり旅が生んだ人々との絆がもたらした奇跡とは。 声優への夢破れ、祖母と二人で生活する杉山未来。入院した祖母を元気づけようと、未来は祖母が生まれた台湾の古都、台南を訪れることを決意する。 祖母の人生をたどる台湾の旅。そのなかで未来は、戦後に台湾の人々を襲った悲劇と植民地だった台湾に別れを告げた日本人の涙を知る。 そしてついにたどり着いた祖母の生家で、未来は人生が変わる奇跡のような体験をするのだった。 「わたしは誰からも愛されない。誰も愛さないなんて生き方はしたくない」 いつもどんなときも夢は突然始まる。台湾の旅情もあふれる最高の感動作。 

日本が台湾を統治していた時代のことや台湾と日本の関係、国民性の違いなどとても興味深かった。
台湾には親日家が多いと聞くけど、それって日本人が自分たちに都合のいい話だけ拾って伝えているのでは?と疑問に感じていたのだが、「そういうことだったのか」と少し納得できた。

どういう教育を受けてきたかで国への印象はがらりと変わる。国と国との関係とは別に、そこにいた人間同士の関係もある。流暢な日本語を使う台湾人に会って未来がなんともいたたまれない気持ちになるのは、共感できる。

国民性の違いとともに浮き彫りになるのが、親子、家族の関係。
親からの暴力で癲癇の発作を起こすようになり自分の人生をぼろぼろにされながらもなお家族や親のためにひたすら稼いでまるで報われない女性。彼女の語る半生は辛すぎて「そんな親から逃げたらいいのに」という想いにかられた。
親や家族の面倒をどこまで見るのかというのは読んでいて痛いテーマであったけど、私は未来の祖母の言葉が良かった。たとえ強がりであったとしても、一度きりの人生、未来は未来の人生を生きてほしいという祖母の言葉は胸に響いた。