りつこの読書と落語メモ

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滅びの園

 

滅びの園 (幽BOOKS)

滅びの園 (幽BOOKS)

 

★★★★★

世界は終末に向けて暴走してゆく。 人類に、希望はあるのか――。

突如天空に現れた<未知なるもの>。 世界で増殖する不定形生物プーニー。 抵抗値の低い者はプーニーを見るだけで倒れ、長く活動することはできない。 混迷を極める世界を救う可能性のある作戦は、ただ一つ――。

面白くて一気読み。

ブラック企業に勤め妻とも分かり合えずどん詰まりの鈴上が迷い込んだ異世界はまるでユートピア
生活には困らないし友だちもできて家族もできる。
時々「魔物」が現れるが、それをみんなで撃退し、自分たちの平和な日常を守って暮らしている。
そこへ「あなたは<未知なるもの>の内部、核のすぐ近くに取り込まれている唯一の人間であなただけが地球を救うことができる」という手紙が届く。
すでに地球にいた頃の記憶が曖昧になっているがおそらくこれは本当のことなのだろうと鈴上は悟る。
しかし今の自分は地球にいた頃より格段に幸せに暮らしている。
手紙を燃やし何も知らないふりをして暮らしていると、今度は地球から中月という男が送り込まれてくる。
鈴上をどうにかして説得しようとする中月だが、鈴上はどうしてもこの男のことを好きになることができない。

一方ある日<未知なるもの>が現れた地球では、プーニーと呼ばれる地球外生物がはびこり、その威力に人間は次々死んでいき食べ物は少なくなり精神に異常をきたした人間が殺し合い、ディストピアと化している。
プーニーに対しての耐性が強い者はプーニー駆除隊に入り、どうにかして街を守ろうとする。
中学生の相川聖子は耐性がずば抜けて高かったためプーニー駆除隊に入るが、駆除の現場で自分より耐性が高くプーニーを自由に操る野夏という少年に出会う。彼は自分の力を使いプーニーを空き地に移動させたり孤軍奮闘しているのだが…。

ディストピアと化した地球で奮闘している彼らはまだ子どもで、ただ自分たちの暮らしを守りたいだけなのだ。

最初は鈴上に共感して読んでいたが、ディストピアと化してしまった地球にいて日常生活を破壊されながら必死に戦う聖子たちの章を読むと印象ががらりと変わる。
死を覚悟して異世界に旅立つ若者が放つ「でも死ぬまでは生きてるんだから」という言葉がとても印象的。

SFチックな話なのに、こういうことが実際に起きるかもしれないなぁとものすごいリアルに感じた。