りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

みかづき

 

みかづき

みかづき

 

 ★★★★

「私、学校教育が太陽だとしたら、塾は月のような存在になると思うんです」
昭和36年。人生を教えることに捧げた、塾教師たちの物語が始まる。
胸を打つ確かな感動。著者5年ぶり、渾身の大長編。

小学校用務員の大島吾郎は、勉強を教えていた児童の母親、赤坂千明に誘われ、ともに学習塾を立ち上げる。
女手ひとつで娘を育てる千明と結婚し、家族になった吾郎。ベビーブームと経済成長を背景に、
塾も順調に成長してゆくが、予期せぬ波瀾がふたりを襲い――。

阿川佐和子氏「唸る。目を閉じる。そういえば、あの時代の日本人は、本当に一途だった」
北上次郎氏「圧倒された。この小説にはすべてがある」(「青春と読書」2016年9月号より)
中江有里氏「月の光に浮かび上がる理想と現実。真の教育を巡る人間模様に魅せられた」

驚嘆&絶賛の声、続々! 昭和~平成の塾業界を舞台に、三世代にわたって奮闘を続ける家族の感動巨編。

軍事教育に反発し公立学校や文部省に反発する千明を以前であればヒステリックに感じたと思うが、今となってはこういう人を笑っていたから日本の今の状態があるのかもしれないと思う。日本がまた戦前の状態に強引に向かっていくような未来が待っているとは、学生の頃の自分は思いもしなかった。

「塾」というきれいごとだけでは済まない世界を描きながら、教育とは何か、大人として子どもに残してやれるものは何かを考えさせられる。

独断的で好きになれないと思っていた千明のことも最後には好きになっていた。