りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

若手特選落語会 桂歌蔵の会

7/24(火)、お江戸日本橋亭で行われた「若手特選落語会 桂歌蔵の会」に行ってきた。

・鯉白「六尺棒
・小助六禁酒番屋
・伸治「鰻の幇間
~仲入り~
・歌蔵「モンゴル公演記」
・まねき猫 動物ものまね
・歌蔵「寝床」


鯉白さん「六尺棒
前も芸協の若手特選落語会で見て思ったけど、鯉毛さんの時と全然イメージが違っていて面白くなってるなぁ~。ゆっくり目に大きな声で話すので聞きやすい。

自分の地元で定期的に落語会をやっているという鯉白さん。
会場は「ニューラッキー」という元ストリップ劇場。
自分の会の時、最前列で見ていたおじさん。ストリップ劇場ニューラッキーの常連だったとかで、終演後いろいろ話を聞くことができた。
そのおじさん、ストリップ劇場だった頃はやはり今回と同じく最前列に座ってかぶりつきで見ていたのだとか。
だいたい何歳ぐらいの方が出てらしたんですか?と聞くと「そうね…40~50代の女性だね」。
それを聞いて鯉白さんが「じゃ…ニューじゃないですね」と言うと、おじさんが「うん。ラッキーでもなかったよ」。

…ぶわははははは!
私これがツボにはまってしばらく笑いが止まらなかった。
いいまくら!

そんなまくらから、自分もいまだに親に迷惑かけてる…と「六尺棒」。
若旦那が吉原から帰ってきて俥屋さんに祝儀を渡すところから。こういう始まり方、初めて見た。
祝儀を渡して喜んだ俥屋が去って行く姿を満足気に見る若旦那。
「いいなぁ。ああやって俥屋が何度も振り返りながら帰っていくのを見送るのは」ってのんきな若旦那。
家に向かいながら「こういう家に生まれてよかったよ。遊ぶ金があって」って、若旦那の能天気さが出ていて面白い。
ご機嫌で帰って来たのに戸が締まっていて番頭も小僧も出てこない。
ようやく出てきたのが一番来てほしくなかった大旦那。戸を挟んで親子の攻防。
勘当だと言われた若旦那が「勘当されたらもう自分の家じゃないから火をつけますよ」と言うんだけど、最初の能天気ぶりを見ているので、これがただ言ってるだけだというのがわかる。
そして出てきた大旦那と追っかけっこ。
とにかく鯉白さんの若旦那はのんきでふわふわしてるのでずるい感じが全くなくて最初から最後までとても楽しかった。

助六師匠「禁酒番屋
聞き慣れているお酒の小噺で爆笑してしまう。やっぱり間ってほんとに大事なんだなぁ。小噺が面白い噺家さんってほんとに実力があるんだろうなぁ。
浅めの出番で「禁酒番屋」。刈り込みながらでもきちんと全部やってしまうのがすごい。
しかもちゃんと面白い。
3番目に持って行った若い衆、「植木屋」と名乗っていたのは初めて聴いた気がする。確かにそれなら「松の肥やし」も意味が通る。
笑った笑った。


伸治師匠「鰻の幇間
「暑い中よくいらっしゃいました」と伸治師匠。
「今日は女性のお客様が多いですね」「どちらかというと年の上の女性が…いえそのほうがいいんですよ」など客席を見渡してあれこれ。それから寿命や健康寿命の話をして、自分は健康じゃなくなってから8年とか生きていたくない、ぽっくり逝きたい、など。
「あのね。まだ何をやるか決められてないんですよ。というのはね、先に上がったやつに”きょうのお客さんどう?”って聞くんだけど、鯉白は”だめっす”という返事、小助六さんは”いいっす!”という返事。どうしようかなーとね」。

それから幇間という職業が200年前からあったということについて、「相手をよいしょする職業が200年前からあったんですよ、日本には。どれだけ文化レベルが高いか」なんていうまくらから「鰻の幇間」。
とにかく伸治師匠がふわふわ楽しそうなので、あんまり好きじゃないこの噺が全然嫌じゃなくて楽しい。
一八が最初なんでもいいようにいいように考えるのもおかしいし、入ったうなぎ屋のがっかり感もすごくおかしい。

酒を飲んで「これは…辛口でもなく…かといって甘口でもない。あえていうなら…特徴がないのが特徴というような酒」。
おしんこも「これは…古漬けでもなければ浅漬けでもない。あえていうなら…特徴がないのが特徴というようなおしんこ」。
鰻は「ガムかと思うようなこの弾力。この歯ごたえ。あっ、骨!鰻の骨とはこれはまたオツな…」。

自分がお勘定を払うことがわかったとたんに「わかりました。払いますよ。払います。でもね、だったら言わせて。ちょっとこっちに来て。…腕組みしない。逃げようとしない」に大笑い。
結構難しい顔してあれこれお小言を言うんだけど、それでもなんかおかしいんだなぁ。
楽しかった~。にこにこ笑顔で帰っていく伸治師匠の姿を見られただけで来た甲斐があったと思ってしまう。


歌蔵師匠「モンゴル公演記」
海外公演であちこちの国に行っているという歌蔵師匠。
私の場合、ヨーロッパとかそういうステキなところには行かせてもらえません。結構過酷なところが多いです。インドとかモンゴルとか。
その中でもモンゴル…ここで行った公演は忘れられません。その時のお話を。
と言って語り始めたモンゴル公演記。面白い面白い。
スポンサーが付いてそこがすごい宣伝をうってくれたおかげで、お客さんがいっぱい集まった1回目の公演。
会場の都合で土曜日の夜の公演のはずが急遽昼になってしまいお客さんが激減した上に、元気スタッフが全く段取り通り動いてくれずボロボロだった2回目の公演。
そして2回目の公演のショックを引きずったまま移動したけれど吹っ切れた3回目の公演。
たんなるまくらじゃなくちゃんとお話として流れができていて、楽しい~。

特におかしかったのが独自の日本語をしゃべるモンゴル人の通訳さん。
この人のストレートな物言いに笑った笑った。
知らなかったけど、歌蔵師匠は海外公演の顛末を本に書いていて、在庫がたくさんあるのでみなさんぜひ…ということだったので買っちゃった。サインもしていただいてうれしい~。


まねき猫先生 動物ものまね
大好きなまねき猫先生。
歌丸師匠の思い出をしんみりと。
まねき猫先生のものまねは抒情的で素敵。秋の虫の鳴き声は聞いてるだけで涼しさを感じる。
鹿の鳴き声もよかったなぁ。
ちゃんと笑いどころも作っているのがまた素晴らしい。


歌蔵師匠「寝床」
前半が初めてこの噺を聞く人にはわかりづらかったような気が…。
旦那の義太夫がまずいっていうのを、もう少し最初に垣間見せてもよかったのでは。
でも後半になって「そうか。旦那の義太夫が相当ひどいからみんながなんやかんや言い訳してたのか」というのがわかってからは大盛り上がりだった。

終演後、著書を販売というので並んで買った。
サインもいただいちゃった。

 

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 私が買ったのは「世界をネタにかける落語家 東南アジア・中央アジア編」。

世界をネタにかける落語家 インド・スリランカ編 DFB-005

世界をネタにかける落語家 インド・スリランカ編 DFB-005