りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

小三治一門会 アプリコ大ホール

7/18(水)、アプリコ大ホールで行われた「小三治一門会」に行ってきた。

・三之助「転失気」
・一琴「ねずみ」
~仲入り~
小雪 太神楽
小三治「お化け長屋」

小三治師匠「お化け長屋」
前日が柳句会だったらしく、その話をしかけては脱線…脱線に気づいて「あれ?なんの話してたっけ?」と言っては「…この暑さですから」としめる。
そうしちゃ、「これが言いたかった。これを言うために今までの…。あたしの話が長くなるわけだ」。
この繰り返しが脱力の面白さ。
とりとめのない話が多かったから思い出そうと思っても思い出せない(笑)。

でも印象に残ってるのは、終戦記念日のこと。
あれは終戦じゃない敗戦だ。だけど敗戦って言いたくねぇやつがかっこつけて終戦なんて言ってるけど、おためごかし。
アメリカの戦闘機が空の上を通っていったこと、空が真っ赤になったこと、自分の家に帰ったらきれいに焼け払われて焼け野原になっていたこと、建物がみんな焼かれて富士山がきれいに見えたこと…。
落語を聴いているときのように、その光景が目の前に浮かんできた。

あ、あと、アメリカに語学留学した時の話をされてた。
本で読んだりCDで聞いたことは合ったけど、生で聞いたのは初めて。

「語学留学なんていっても…たったの4週間ですからたいしたことない。それでも楽屋ではえらい珍しがられましたよ。なにをしようってんだ?って。帰ってきたら楽屋で言われました。”じゃぁもう英語ぺらぺらだね?”…ぺらぺらになるわけねぇだろう!たったの4週間で。それは英語をなめすぎです。」
「挨拶だけですね、できるようになったのは。4週間いてわかったこと。それはアメリカ人は公式な場でもGood Morning とか Good Night なんて言わない。公的な場所に呼ばれてエライ人と会話するときでもあっちの方はみんないつでも…Hi!でした。どんな偉い人でも堅苦しい場でも。だから私も帰りは”ハーイ”って言えるようになりましたよ。あれだって行ってなかったら絶対言えっこない。」

とりとめもない話の中に小三治師匠という人が詰まっていて、どんなに偉くなっても人間国宝になっても実際会って話をできるような人ではなくっても、それが私にはとても近しく感じられる。
実際傍にいたらきっと私なんか煙たがって近寄りもしないだろうと思いながら、でもそういうの取り払って、わかる!わかります!そういうところが好きです、と言いたくなる。
言う場所がないからこんなところに書いてるわけだけど。

そんな話から、怪談噺のまくらをふって「お化け長屋」。
小三治師匠の「お化け長屋」久しぶりだったけど、最初の男に語る怪談が思いのほか怖くてびっくりした。
おそらくこの会に来るお客さんってそんなにすれてない人が多くてこの噺の内容を知らなかったんだと思うんだけど、会場がしーん…となったもの。
それだけに、次の男の反応がいちいちおかしいんだよね。

店賃はいりません。もちろんそれには訳がある…。と語ると間髪言わず「いいよ」。
「え?」
「いいよ。出るんだろ?これ(幽霊のポーズ)が。いいよ。」
前半が丁寧だっただけに、後半のスピード感がたまらない。木兵衛さんがどうにか挽回しよう挽回しようと頑張るのにことごとく跳ね返されるおかしさ。

楽しかった~。