りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

立川流孫弟子の会「マゴデシ寄席」

7/17(火)、上野広小路亭で行われた立川流孫弟子の会「マゴデシ寄席」に行ってきた。
マゴデシ寄席はこしら師匠と吉笑さんと談吉さんの名前が入ると行きたくなる。


・只四楼「真田小僧
・吉笑「ぞぉん」
志ら乃「千早振る」
・こしら「青菜」
・らく兵「火焔太鼓」


只四楼さん「真田小僧
やけにこなれた前座さんだなと思ったら、ニツ目昇進が決まってるらしい。
強気のまくらにギャグ満載の「真田小僧」。好きなタイプではない(グイグイ系)けど面白かった。


吉笑さん「ぞぉん」
禁酒中の吉笑さん。
お酒を飲まないと夜が長い。何か楽しいことを見つけたいと思い、最近やっているのが将棋。
将棋アプリをインストールしたんだけど無料でできるのが一日三局まで。それをコツコツやっていたら、三四郎さんもやっているらしく「対戦せぇへん?」と誘ってくれた。
三四郎さんは噺家仲間でその将棋アプリ仲間を募りLINEグループを作っていてそこに入ると「今からやらない?」と誰かがつぶやいてタイミングがあえば対戦ができる。
今まで一人でコツコツやってきたけど自分がちゃんと誰かと対局できるのかどうか、そのレベルがわからない。でも楽しそう!と思っていると、さっそく自分がヒマな時にべ瓶さんが誰か今からやらへんか、と言ってきた。
それでは!と手を挙げて、初めての対局。
やってみるとある程度互角に戦える感じ。うぉーー楽しい。これは互角って感じ。
そう思ってやっていると、急にべ瓶さんが不用意な感じに駒を置いた。え?これってなに?自分がこう動かせば結構有利になっちゃうよ。でも今まで慎重な感じに打って来た兄さんがなぜ?はっ、これはもしや罠なのだろうか。ここに食いつくと「ふん、食いついてきやがった」とあきれられてしまうんだろうか。
深読みしてなかなか打てず持ち時間をどんどん使ってしまい、それでもまだ決められず、とりあえず当たり障りのない駒を動かした。
するとべ瓶さんも同じように当たり障りのない動き。
ぐあっ、わからん!どうしたらええんや。答えが出ない。
またどうしようどうしようと考えていると、LINEの方にべ瓶さんからのメッセージが。なに?!と見ると一言「しもた」。
罠でもなんでもなかったらしい。

…ぶわはははは。おかしい~。考えすぎる吉笑さんと間違って打っちゃったべ瓶さんがおかしすぎる。

そんなまくらから「ぞぉん」。
おお、テッパンで来た。
いやほんとにこれ面白い。吉笑さんらしい新作。笑った笑った。


こしら師匠「青菜」
前方の志ら乃師匠とトリを務めるらく兵さんのことを「真面目ですから。そして師匠一筋。俺とは正反対。真面目すぎておかしなことになっちゃってるから。どちらの方が深刻か、お客さんにはそこを楽しんでもらえたらね」。
…いやぁ、この言葉、結構正しかった気がする。うーん。

それから、アカウントが凍結された、というまくら。
これがもうおかしくておかしくて。これだけうさん臭いのにただひたすらにおかしいってなんなんだろう、この人は。
楽してお金儲けたいっていうわかりやすい欲望を隠さず見せるんだけど、でもあんまりそれに固執してない感じもあるんだよな。
で、ビットコインとかそういう話をわーっとしながら「あれ?全然食いついてこない?興味ない感じ?ああ、そうか。粋なんだね、ここにきてるひとは。宵越しの銭は持たないんだね?」。

…ぶわはははは。もうおかしすぎるよー。

爆笑のまくらから「青菜」。
これがもうまためちゃくちゃな「青菜」なんだけどめちゃくちゃ面白い。
植木屋さん、旦那に声をかけられたとき、木の上でよだれ垂らして爆睡中。
「ご精が出ますな」
「ぐぉーーー(いびき)」
「今完全に寝てましたね」
「ぐぉーーー」
「まだ起きない…。植木屋さん、ご酒はおあがりか?」
「え?セロ弾きのゴーシュがどうした?」
「…まだ起ききれてない」

独自なギャグやひねりが入りまくりなのに、普通にやるところもあって、そうすると「あれ?そこは変えないんだ?どうでもいいところじゃねぇ?なのに古典のまま?」と自分で突っ込むおかしさ。
最初から最後まで破壊的におかしくて笑った笑った。
必ず期待以上に面白いこしら師匠ってほんとにすごいと思う。


らく兵さん「火焔太鼓」
出てくるなり「やりづらい…」。
ぶわはははは、ですよねー。
「しかも15分押してる…。私の時間が…。」
で、まくらをしゃべっていると、志ら乃師匠とこしら師匠が乱入してきて、「え?落語って一人でやるものじゃ?」とらく兵さんが言うと「そんなこと言わずに、みんなでやってこ!」とこしら師匠。
ぶわはははははは。もうおかしすぎる。

「たっぷりやって」と志ら乃師匠が最後に優しい言葉をかけて、二人退場。
気を取り直して?話し始めたら、うおおお、火焔太鼓だー。

とてもやりづらかったと思うのだ。こしら師匠が荒らしまくった後で、ニツ目のらく兵さんがトリを務めるというのは。
だけど浮足立つことなく自分の世界を落ち着いて繰り広げて、とてもすがすがしい。
そして「火焔太鼓」、テンポがよくて端正で…時折独自のギャグというかカラーを出しつつ…でもそれもやりすぎじゃなくいい味を出していて、なんかとても好きなタイプの落語だった。

らく兵さんのことはあんまりよく知らないけど、でも私が落語を見始めてしばらくしたころに一度破門されて、それからまた志らく師匠のところに戻ったということを聞いていたのと、「らく兵」と名前に「兵」の字が入っているところから、きっと苦手なタイプ…と思っていたんだけど、落語がとても好みだったのでびっくりした。
私の持っていた先入観が見事に壊された。

また見たい噺家さんが増えてしまった。わー。困ったー。と言いながらとても嬉しい。また面白い噺家さんに出会えたヨロコビ。