りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

ヨセゲー #39 珍品落語

7/12(木)、らくごカフェで行われた「ヨセゲー #39珍品落語」に行ってきた。

遊喜「両泥」
助六「両国八景」
仲入り
傳枝「死ぬなら今」
里光「高宮川天狗酒盛」


助六師匠「両国八景」
「両国八景」の中に出てくる五臓圓という薬、今も大木ヘルスケアホールディングスという会社で販売している。
以前ラジオで「両国八景」をやった時、この会社の方が聞いていてくださっていて大変喜んでいただいた。
それ以来、私がこの噺をやると私のところにこちらの会社から小銭をおくっていただく契約になってます。なので、今回ヨセゲーで珍品を…と言われた時、すかさず「両国八景」!と答えました。

…ぶわははは。またまた!

子どもの頃から落語好きで落語家になった人間は、どうやら珍品好きという傾向があるようです。私もそうですが、歌丸師匠もそうで。ある時私がそういう噺を掘り起こしてやっているということが師匠の耳に入ったんでしょう。楽屋でお会いした時に「あなた、他の人がやらない落語を掘り起こしてやられてるそうですね」と声をかけていただいた。
「人がやらないということはおもしろくないから。それを自分で再構築して人前でかけるというのは大変な作業。大変だけどとても勉強になります。ですからそのまま続けて下さい」。
そう言っていただいたのでこれからもやっていくつもりです。

…わーい。ほんとに小助六師匠は珍しい噺をたくさん持ってるから好きよー。「両泥」なんて落語協会ではやる人がいないけど、芸協の若手はやっていてそれは小助六師匠から教わったからと前に聞いたことがある。すごく素敵なことだよなぁ。
あとこのブログの記事もとても素敵だなぁ、と思う。
夢丸師匠もそうだけど、楽屋でめんどくさがられているおじいさんの師匠の話を聞くのが大好きで、若手は教わりに行ったりしない師匠の所に好んで教わりに行って、落語だけじゃなく昔の話を聞いたり音源をもらったり…そういう「好き」が聞いてる側にも伝わってくるから楽しいんだと思う。

「両国八景」、以前連雀亭で志ら乃師匠、寸ん志さんとの会で一度やったのを聞いたことがあって、また聞きたい!と思っていたので嬉しい。
前半部分は「ずっこけ」なんだね。
それで酔っぱらいと連れが二人で両国にやってきて、そこにいろんな出店があって口上をやっているところに酔っぱらいが乱入していく、という展開。
でもこの噺って最後はしぐさで笑わせるから、これをラジオでやったって…?ってはてなでいっぱいに。
いつか小助六師匠に直接聞いてみたいなぁ。ってそんな機会はないか。いや願っていればいつか叶うかな。


里光師匠「高宮川天狗酒盛」
実は前回は入院してまして、と里光師匠。
肝硬変になってしまったんだけど、これ、お酒のせいではなくて薬のアレルギー。花粉症やらなにやらでその頃薬をいろいろ飲んでいたんだけどそれがアレルギー症状を起こして肝臓が悪くなってしまった。
なんかお腹が痛くて具合が悪くなって黄疸が出て(白目も黄色くなったとか)病院に行ったら、数値が大変なことになってるとかで大病院に行けと言われ、大病院で検査したら即入院と言われてしまった。
点滴してもらったら具合が結構良くなったので、すぐには入院できないです、寄席に行ってきますと言ったら、絶対だめ!と言われ、仕方がないので諸々連絡したり準備して明日入院しますと言ってどうにか許可してもらった。
入院しても薬のアレルギーだったから何の薬も入れてもらえず、全部の薬をやめて絶対安静。2、3日で退院できると思ったら2週間もいるはめに。それでも1週間もしたら具合も良くなり、病室もナース室から遠い方に移され、暇で暇で。
入院すると仲間に言うとみんなお見舞いに来たかったけど来てもらったらあんなやつらでも気を使うしお見舞いもらったらお返しもしなきゃいけないし邪魔くさいわと思って「来ないでくれ」と言ったんだけど、2週間もいたら…来てほしかったですわ…。

…ぶわははは。
前から里光師匠って好きだなと思っていたけど、今回らくごカフェという狭いところで見て、なんかすごく好きになったなぁ。喋ってる内容もそうだけど、なんかこう人柄がすごく好きだな。兄貴っぽいけどナイーブな人だなぁ、と感じた。

そんなまくらから「高宮川天狗酒盛」。
今回の4席で唯一聞いたことがなかったのがこの噺。
初めて聴く噺ってほんとにわくわくするなぁ。

伊勢詣りに行った二人組。道中遊びが過ぎてお金がなくなってしまった。
これじゃ宿屋に泊ることもできないけど野宿はしたくない、どうしようと話していると、片方がいい考えがある、と言う。
客引きをしてきた宿屋に泊り、そこの主が挨拶に来たら、自分たちは「鴻池」と「住友」と名乗る。そして店の若い衆が千両を持ってこちらを訪ねてくると言うと、店の者はそちらに気をとられるだろう。
それでさんざん飲み食いして夜が明ける前に逃げてしまおう。

二人がうまい具合に宿屋を抜け出して山道に行くと、遠くから大勢の人影。あわてて木に登り上からのぞいてみると、これが山賊。しかもこの山賊たち、自分たちのついた嘘をどこやらで聞きつけてその旅館に千両を奪いに行く相談をしている。
そうこうしているうちに、一人が尿意をもよおし我慢できず木の上でしてしまうと、山賊たちはこれを天狗の仕業と思い込み…。


…すごくばかばかしくて楽しい~。
そして上方落語ってほんとに聴きやすくてすっと耳に入ってくるから好きだわー。

とても楽しかった。