りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

池袋演芸場7月上席夜の部

7/3(火)、池袋演芸場7月上席夜の部に行ってきた。

・伸&スティファニー マジック
・圓馬「短命」
雷蔵「猿後家」
~仲入り~
・コント青年団
・枝太郎「竹の水仙
柳橋「大安売り」
・喜楽・喜乃 太神楽
・遊吉「質屋庫」

 

圓馬師匠「短命」
聞き飽きた噺なのに最初から最後までおかしい。
圓馬師匠のこの独特のテンポとノリが好き。ジャズみたい。ってジャズのことよくわからないけど。
私はたぶん押す落語より引く落語の方が好きなんだけど、その加減が圓馬師匠ってほんとに独特で、すごい安定感がありつつもどう転ぶかわからないドキドキ感があって、そこに一番魅力を感じる。

くまさんが枝を切りながら夫婦がいちゃいちゃしながらご飯を食べているところを「もう~ばかばかしくって」と言うんだけど、くまさんがすごい照れていてそれを「もうばかばかしい」としか言いようがないっていうの、おもしろい。
「爪の間から毒」「足の爪から毒」「もっと足を見ようと思って炬燵にもぐりこんで煉炭中毒」…たたみかけるばかばかしさ。
また家に帰ってきてからのおかみさんの「い~ま帰って来たじゃないよ!!」の迫力!
思ってたよりすごかったので大爆笑。

伊勢屋の弔いに行かなきゃいけないのになんで隠居のところに行ったの?と聞かれて「悔みの稽古に行ってきた」とくまさんが言うと「稽古?!悔みの稽古?!悔みに稽古がいるってのかい?!」
そんなおかみさんにくまさんが「お前…普通にしゃべれないのか」と言うのがもうたまらない。
いやぁ笑ったー。短命でこんなに面白いって圓馬師匠ってほんとにもう…(ラブ)。

 

雷蔵師匠「猿後家」
蝠丸師匠の代演でちょっと残念。
え?と思ったのは後家さんを「おばあさん」と。おばあさんなの?この後家さん?
こんなに容姿のことを気にして「美人」「きれい」って言われたがってるから、てっきりまだ色気があるのかと思ってたけど。
でもこの時代は40過ぎてたらもう相当なおばあさんだから、それぐらいの年なのかなぁ。
サゲが変わってたけどちょっとわかりにくいような…。


枝太郎師匠「竹の水仙
歌丸師匠が前の日に亡くなってその追悼で師匠の得意なネタをやるということだったけど、う、うーん…。
「ウケないと思います」「シーンとさせて帰ります」と最初に言っていて、それならそれでもよかったんだけど、でもやっぱり笑いが欲しくて?あるいはそれがこの師匠の「竹の水仙」なのか?途中からべたべたのギャグをバンバン入れてくるんだけど、それが私には一つも面白くなくてしんどい…。
なんか聞いているのがつらいから寝てしまおう…と目をつぶったら、扇子をバンバンバンバン叩き始めて「なんでこんなに叩くかというと寝たお客さんがいる。起きるまで叩きます」。
…ええ?私のこと?じゃ起きてなきゃだめなの?こんなにうまくもおもしろくもないのに…この押しつけがましさが一番苦手…。
別に嫌がらせで笑わないわけじゃなくて、笑いたいとは思ってるけど…そして私の笑いのハードルは結構低いしゲラだと思うけど、それでも面白くないから笑えないんだよ。人には好みってもんがあるんだからそれはしょうがないじゃん。いちいちそれを悪意があるみたいにとらないでほしい。

その前に出たコント青年団のやる気のない歴史の教師と政治家になりたい生徒のネタ…これも聞きすぎていてもう全然笑えないので…そして笑わないことをいじられるので、仲入り後のこの2席はきつかった。
芸協の寄席は時々こういう地獄を味わわせられるんだよなぁ。客いじりやめてほしい。ほんと。淡々とやってくれ。笑いが起きないときほど淡々と。

柳橋師匠「大安売り」
ああ、ほっとする…。客に全く負担をかけない落語。
やっぱり落語ってある程度の技術がないと聞いていてしんどい。上下の振り方とか口調とか語りとか間とか。それを凌駕する面白さがあれば別だけど。
「大安売り」は正直どこが面白いかわからない噺なんだけど、まくらから落語からのんびりしたあたたかい空気に包まれて身をゆだねて聞けてほっとした。


喜楽・喜乃 太神楽
珍しく喜楽師匠が傘の曲芸を。喜乃さんの体調が悪かったんだろうか。傘もひやひやしたけど、最後の二人で輪の取り合いもひやひやした。


遊吉師匠「質屋庫」
いつものまくらから「質屋庫」。
この師匠の独特のかるーい口調と芝居っぽくなくお話っぽく展開する落語が好き。
番頭さんが蔵に入って化け物がいるかどうかを確かめてくれと言われて、突然「今まで長々お世話になりました」とふわっと頭を下げるおかしさ。
くまさんが旦那に呼ばれて小言と思いこみ、あれこれ悪事を告白するところ。セリフに繰り返しが多いので聞くほどに笑ってしまう。
番頭さんとくまさんが怖がりながら離れで飲み食いするところはわりとあっさりめ。二人がキャーキャー言うところ好きなのでもう少したっぷりやってほしかったかな。

庫のシーンは鳴り物入りで豪華~。
芸協は結構鳴り物入れるけど、いいなー。落語協会ももっと入れればいいのに。
でもこの噺、サゲがわかりづらい。私もどなたかが菅原道真島流しになったことをまくらで言っていて、ようやくそれでわかったから。
でも確かにこういう仕込みが必要な噺ってハードルが高いかもなー。