りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

赤坂倶楽部 さん光百席道

6/28(木)、赤坂会館で行われた「赤坂倶楽部 さん光百席道」に行ってきた。
さん光さんをもっと見てみたいと会に行くようになったけど、三人会や二人会に行けば行くほど、本気を出してる会を見に行かなければ!という気持ちに。本気出してるっていったらやっぱりこの会でしょう、とようやく念願のさん光百席へ。


・さん光「平林」
・さん光「唐茄子屋政談」
~仲入り~
・さん光「やかん」


さん光さん「平林」
今日は来ていただいてくださってありがとうございます、とさん光さん。
みなさん、今日はどういう日かご存知ですか。日本にとって大事な日ですよ。キックオフは22時ですけど。そんな日にいいんですか、こんなところに来ていて…。
そして今日は末廣亭では人間国宝がトリですよ。本当の落語好きはそっちに行くでしょう。

…ぶわははは。確かに(笑)。
いやほんとに毎日いろんな会が重なっていて選ぶのも結構大変なのだ。

そして私の会に来ていただいている方はご存知かと思いますが、私のお尻をですがここにきてようやくほぼ治りました。
ほぼ、というのはですね、まだ穴が残ってるんです、コメ粒ほどの。でもお医者様の方から「もういいよ」と言われたので、これはもう完治といっていいだろうと。
完治するまで一か月半。何度も通ったのでお医者様にも覚えていただいて親しみを持ってもらえました。でも看護師さんは交代勤務ですから顔を覚えてもらえるほどじゃなかったですね。でも尻を見ると思い出していただけるみたいでしたね。ああ、この尻か、と。

今日はみなさん試練の一日になりますよ。ネタ出し見ていただいてますか。今日は私は…やかんと唐茄子屋政談、やります。夏の噺を、というのでたいして何も考えず「唐茄子屋」って言っちゃったんですね。でもこれほんとに長くて…みなさん、大丈夫ですか。
あと「やかん」…私、やってみてわかりました。言い立て、苦手です。
で、あと一席は考えてないんですけど、何をやろうか…さっきお客様から「あれやれば」と言われたあれをやろうと思います。

そんなまくらから「平林」。
楽しい。さん光さんに合ってるね、定吉
教えてもらった名前を全部つなげて言いながら「こんな長いのは覚えられるのに最初の短いの忘れちゃう」って言ったのがおかしかった!

話し終わってから「平林は噺家になって2つ目に覚えた噺で、これを覚えた時点でちょっとさぼってしまいまして…ほんとにこればっかりやってたんですね。前座のころ。便利な噺なんですよ、わりとつかないから。でもある時師匠が気が付いて”お前、平林ばかりやってるな!!”って逆鱗に触れまして…。そうでした、そういう噺でした」と言ったのがまたおかしかった。


さん光さん「唐茄子屋政談」
うちの一門で若旦那キャラといえばほたる兄さんです。
弟子入りすると師匠から一人暮らしをするように言われます。その時、4畳半一間でトイレ、風呂のないアパートに住め、というのが師匠の教えなんです。
まずは一番低いところから始めてその不便を知ってそれからのし上がっていけってことなんですね。
で、弟子の中でほたる兄さんだけはこれを免除されてるんです。なぜならあにさんは入門した時すでに自分のマンションを持っていたので…。

…ひぇー。それはすぎょい。
どれぐらい若旦那キャラなのかはちょっと伝わらなかったけど(笑)。
そんなまくらから「唐茄子屋政談」。

若旦那があんまり若旦那らしくない。どちらかというと与太郎っぽい(笑)。
そのかわりおじさんがとてもいい味を出してる。口では厳しいことを言ってるけど本当に徳三郎のことを思っているやさしさ。あまり出てこないけどおばさんのやさしさもじんわりと。
橋でつまずいて転んだ徳三郎を助ける江戸っ子も気が良くてとてもいい。さん光さんは声が大きくて明るいからこういうカラっとしたキャラクター、いいな。見知らぬ江戸っ子が友だちやかみさんたちに声をかけてワイワイやりながら売る姿にじーん…。
徳三郎が吉原田んぼを歩きながら吉原のことを思い出すシーンは…やっぱり徳さん与太郎風味(笑)。でも花魁とのやりとりを思い出すところはよかった。かわいらしくて。こういうかわいさって本人からにじみ出てくるものだから。
後半は少し息切れした感じだったかな。

「とにかくやりきったということで自分としては満足です」とおっしゃっていたけど、確かに少しあやしいところはあったけど、とてもよかった。
こういうさん光さんを見たかった。無理めな噺に挑戦してる姿。だから私は大満足。
さん光さんってとても不器用な人なんだろうな。でも不器用な人って上っ面でちょいちょいってできないだけに腹に落ちるという面もあるから、私はそっちの方が好きだな。


さん光さん「やかん」
言い立てが苦手とのことだったけど、たしかにかなりあやしかった。多分「唐茄子屋」で燃え尽きたんだろう(笑)。
ではも、先生とはっつぁんの会話の部分がしっかりしてるからほかの部分は後からついてくるような気がする。


うーん。楽しかった。
見たいと思っていたさん光さんの本気も見られて満足。
三席聞けてまくらもたっぷり。よかった。
あーでもさん光さんはこんな風にあたたかく見られるのに、さん助師匠にはなぜ…。ということを思うと、あんまりかためて見に行きすぎるのはよくないのかなぁ。