りつこの読書と落語メモ

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誰でもない (韓国文学のオクリモノ)

 

誰でもない (韓国文学のオクリモノ)

誰でもない (韓国文学のオクリモノ)

 

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それが必要だった。すべてのものが消えてゆくこのときに。暗闇を水平線で分ける明かりのようなものが―喪失、暴力、孤独、格差、貧困…“今”をかろうじて生きる人々の切なく、まがまがしいまでの日常を、圧倒的な筆致で描いた8つの物語。いま最も期待される韓国文学の“新しい顔”ファン・ジョンウン、待望の初邦訳。 

韓国の作家の作品をこのところ続けて読んでいるが、読んだ中で一番好きだった。ファン・ジョンウンは長編「野蛮なアリスさん」も面白かったけど、こちらの方がもっと好き。

自分の身に覚えがないようなことがらを描いてあってもなぜかとても身につまされて呼吸が苦しくなる。乾いたユーモアに思わずふっと笑いを漏らすと、笑ったことを恥ずかしく思うような展開が待っていたり、かと思えばすべて引っくるめて赦されてると感じる文章があったり。

狂気に囚われていたり絶望の淵に立ってる登場人物が多かったがそれでも彼らは死ぬまで生きていくのだろう。そういう力強さがあった。

「ミョンシル」「誰も行ったことがない」「笑う男」が特に好き。もっと読みたい、ファン・ジョンウン!