りつこの読書と落語メモ

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殺人者の記憶法

 

殺人者の記憶法 (新しい韓国の文学)

殺人者の記憶法 (新しい韓国の文学)

 

 ★★★★★

田舎の獣医キム・ビョンスの裏の顔は、冷徹な殺人犯だった。現在は引退して古典や経典に親しみ詩を書きながら平穏な日々を送る彼には、認知症の兆候が現れ始めている。そんな時、偶然出会った男が連続殺人犯だと直感し、次の狙いが愛娘のウニだと確信したビョンスは、混濁していく記憶力と格闘しながら人生最後の殺人を企てる―。虚と実のあわいをさまよう記憶に翻弄される人間を描いた長編ミステリー小説の傑作。映画原作小説。 

 

アルツハイマーにかかった殺人鬼キム・ビョンス。25年前に殺人はやめたのだが、唯一気にかけるのが、養女として育てた娘ウニ。実はウニは自分が惨殺した夫婦の子どもなのである。
最近近所で連続殺人が起こり、家の回りをうろついている男にキムはかつての自分と同じ匂いを感じ、ウニの命を奪おうとしていることを感じ取る。
やろうとしたことを忘れ昨日の記憶がなくなる中でどうにかして先手を打って、ウニを守ろうとするのだが…。

混沌とする記憶の中で自分の言動に確信が持てなくなる。恐ろしいのは記憶がなくなることだけではなく、自分が唯一無二と思っていたそのことすら形を失うこと。
記憶とはなんなんだろう。自分とはなんなんだろう。

読んでる間、自分の思考も迷宮に入っていきそうで怖くなった。

ショッキングな内容だが、乾いたユーモアがあってちょっと笑えるところもある不思議。
とても面白かった。
日本翻訳大賞受賞作品。新しい韓国の文学、確かにとても面白い!