りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

小んぶにだっこ

5/22(火)、落語協会で行われた「小んぶにだっこ」に行ってきた。

・小んぶ「長短」
~仲入り~
・小んぶ「らくだ」


小んぶさん「長短」
「みなさんが着物を着られるのかどうかわからないのですが」と小んぶさん。
我々の着る着物には、洗える着物と洗えない着物があります。
洗える着物というのはいわゆるポリエステルですが、我々はこれを「洗える着物」と呼びます。
洗えるっていうのはほんとに普通の服と同じ洗剤で洗濯機で洗えるんです。
一方洗えない着物の方は、洗えないといっても業者に出せば洗ってもらえます。こちらは本絹ですから着物自体高価ですし、洗ってもらうにも結構お金がかかります。

で、洗えない着物を洗ったらどうなるのか、気になるじゃないですか。…私、気になっちゃったんです。
それでもう何年も着ている洗えない着物を…これだってまだまだこれから先も着られるものですよ、それをどうしても知りたくて洗濯機で洗ったんです。その結果…。

あのね。洗えない着物を洗うとどうなるかというと、着物が死にます。
ほんとに死んだ、としか言えない状態になります。
もう見た瞬間にですね、「あああ、お前、なんでそんな姿になっちゃったんだーーー」ってこうね…抱き寄せて泣くような…世界の中心で愛を叫ぶような形になりましたね。

縮むんです。そして生地がごわごわに硬くなる。これはもう「死んだ」としか言いようがない…。

…ぶわははははは。
もうおかしすぎるよ、小んぶさん。
大きな小んぶさんが着物を抱き寄せるようなしぐさをしたのがおかしくておかしくて。
楽しいなぁ、もう。

そして今日は二席目「らくだ」やります、この会で一度やったことがあるんですが、習った通りの形でやると50分かかるんです。50分となるとなかなかやれる場所がなくて。二人会なんかでやったりしたら「こいつ、やりたい放題だな」と思われることは間違いないですし、そういうところは気を遣う方なので。
お客様には負担をかけますが、どうぞよろしく。

というようなまくらから「長短」。
長さんが異常なくらい動作が遅いんだけど、もうここまでだとばかばかしくて笑ってしまう。
まんじゅうを二つに割ってからまたくっつけて見せたりするばかばかしさ。
それを見て短さんが焦れすぎてえーん!と泣き出すというのもおかしくて、笑った笑った。

小んぶさん「らくだ」
前半はフツウの「らくだ」だったんだけど、後半どんどん小んぶテイストになってきて、爆笑!
ご本人も終わってから「教わった通りにやってみるつもりでやってたのに、やっているうちに楽しくなってきちゃって、全然教わったかたちじゃなくなっちゃいました」とおっしゃっていたけど、いやぁ…最高だった。

もともと小んぶさんがコワモテだからなのか、らくだの兄貴分がことさら凄みをきかせたりはしてないんだけど、こういうガタイのいいコワモテがいたらそれだけで怖いだろうな、と思わせる静かな怖さ。
兄貴分の名前が「どぶろくのまさ」で、屑屋さんがその名前を最初はおそるおそる、後半は「まぬけな名前だな!」と面白がって呼ぶのが面白い。
そして屑屋さんは小んぶさんらしく、ほとんど逆らわない。兄貴分に何か言われるとあっさりあきらめて従う。

大家さんのところで「かんかんのう」をやった屑屋さんがちょっと楽しくなるのがおかしい。
八百屋さんに樽をもらいに行くとき「もし樽をくれないって言ったらかんかんのう?」と屑屋さんが言うと、兄貴分が「ちがうよ。そうしたら、返しにきます、って言え」。
八百屋さんに行った屑屋さんは「樽をください」と言って断られて「返しに来ます」と言って断られて、自分の判断で「かんかんのう」と言った、ってことになってて、面白いなー。

逆らわない屑屋さんは、兄貴分に飲めと言われた酒をほとんど逆らわずにごくごくっとのみ、二杯目はすでに自分の方から飲みたがっているようなそぶり。
三杯目からはもう酔っ払ってすっかりご機嫌に。
もうでもここからが最高におかしい。あとで小んぶさんが言ってたように、自分でどんどん楽しくなってきた感じ。
なんか立場が逆転した楽しさもあるんだけど、屑屋さんがとっても陽気な酔い方でそれがすごく楽しい。

焼き場の友だちも陽気な酔っ払いで、この二人のはしゃぎようがばかばかしくも楽しくて、笑った笑った。
いやぁ、面白いなー小んぶさん。やっぱりなんか独自な何かがあるな、この人には。おもしろかった。