りつこの読書と落語メモ

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柳家小三治独演会 日本橋三井ホール

5/20(日)、日本橋三井ホールで行われた柳家小三治独演会に行ってきた。

・はん治「子ほめ」
小三治「野ざらし
~仲入り~
小三治ちはやふる


小三治師匠「野ざらし
会場を見渡して、ここは私が落語会をやるほかの会場と比べると異色です、と小三治師匠。
舞台と客席がとても近い、ということを言いたかったんだと思うんだけど、私は後ろから数えて3番目ぐらいの席だったので、師匠が遠い~。
おそらくこの会場って三井のカード持ってる人が優先的に予約できたんじゃないかな、と推測。
師匠が「お客さんのレベルも何か違うらしい」みたいなことを言っていたし、会場の雰囲気もなんとなくそんな感じ。
早めに着いたからCOREDOに入ってるショップをのぞいてみたけど、どこも高くてびっくらこいたよ、あたしは。

「私は目がいいのが自慢で、昔ならこれぐらいの会場だったらどこにだれがいて誰が真剣に聞いてて誰が怠けてるか一目でわかった」と小三治師匠。
でもここ数年はもうだめ。いや、数年じゃないな。数十年か。老眼?近眼?すっかり悪くなって。
視力といえば、昔「わくわく動物ランド」っていう番組があって、その番組には何回かゲストで出たことがあって、「チンパンジーはあくびするでしょうか」とか…くっだらねぇクイズに答えるんですよ。
で、全問正解するとアフリカに連れて行ってもらえるんだけど、ある時たまたま全問正解して。アフリカの…あれどこだっけ、サバンナか。そこに連れて行ってもらえたんだけど。

そこにはマサイ族っていう人たちがいて、この人たちはテレビもなければなにもない。そういうところで暮らしてるから、感覚が研ぎ澄まされていて、ものすごく目がいいんですよ。
私がいい時で、1.5。「ここから下は見える?」って聞かれて「そこは覚えてません」って答えて偉い怒られましたけど。
マサイ族は5ですよ。5見えるんだって。
だからはるーーかかなたにいるサイが見える。見えたからってどってことはないんですけどね。いつもそこにいるんだから。

…ぶわははは。小三治師匠の口からわくわく動物ランドとかマサイ族とか…飛び出すとは思わなかった。
まだまだ話したりなさそうだったんだけど「今日はわけあってこれ以上話さない。このわけについても話さない。長くなるから」。

そんなまくらから「野ざらし」。
威勢はいいけど「見た目弱そう」で「中身はもっと弱い」はっつぁんがとってもチャーミング。
先生との会話も楽しいけど、川に行ってからの浮かれっぷりの楽しさ。この楽しさは誰がやっても小三治師匠にはかなわない。


小三治師匠「ちはやふる
後半はまくらをたっぷり喋ろうと思っていたのかな。
この間の末廣亭で話していた小噺から始まって、落語ってどういうものなのか、という話。
風景が見えてこなきゃいけないっていうの…難しいよなぁ。でも確かに小三治の落語は、人物がくっきり見えてくる。
すごく緻密な計算もされているんだろうけど、それを全く感じさせないのがすごい。

それからこの間の調布で話していた高畑監督の話をしたかと思ったら、今度は大佛次郎の本の話になりそこから歴史の話、鎖国の話から、お茶の話へ…。
もともと「鞍馬天狗」が大好きで、そこから原作を読んでみようと読んでものすごく面白くて、次は「パリ燃ゆ」「天皇の世紀」へ。
我慢して読んだ、面白くもなんともない、というような言葉がいかにも小三治師匠らしいんだけど、そこからめくるめく世界が広がっていき、その感動を伝えようとする姿にぐっとくる。

政治の話になってはやめ、なってはやめ、しながらも、これだけは言いたいと「私は戦争は絶対に反対です」。
ほんとにほんとに私もそう思う。それを平和ボケだと言ってほしくない。

あと、はっとしたのは、「会社に属していてそれがすべてでそこから外れたら俺はおしまいだと思ってるかもしれないけど、そんなことはないんだ」という言葉。
会社が一番大事なんじゃないよ。てめぇが大事なんだよ。
会社のために、自分が属している組織のために、嘘をついたりすることの無意味さ。
「お前は恵まれてるからそういうことが言えるんだ」と言う人がいるかもしれないけれど、そんなことはない。みんな同じなんだ。
小三治師匠の言葉がストレートに伝わってきた。

そんな長いまくらから「ちはやふる」。
長いまくらの後の落語がいつも恐ろしくいいっていうのが小三治師匠の面白いところだなぁ。
さんざんあれこれ話して、結局最後はこういうくだらない噺っていうのがたまらない。

「ゴムマリみてぇな女」「とりわけ女乞食はよく弾む」
いつものフレーズに大爆笑。

ああ、楽しかった。席が悪かったし、日曜日だったし、もう行くのやめちゃおうかとさえ思ったけど、行ってよかった~。