りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

師匠、御乱心!

 

師匠、御乱心! (小学館文庫)

師匠、御乱心! (小学館文庫)

 

 ★★★★★

「もう決めた、あたしゃ、伝家の宝刀を抜く!」昭和五十三年、名人・三遊亭円生が、落語協会の方針に異を唱え、一門を率いて協会を脱退するという大事件が起こった。一番驚いたのは、他ならぬ円生の弟子たちである。寝耳に水の師匠の決断。寄席への出演も差し止められ、一門の前途は真っ暗に!弟子たちに広がる疑心暗鬼。崩壊する師匠との絆、そして訪れる突然の別れ。落語界を揺るがした大騒動の一部始終を内側から描いた問題作。騒動の後日譚と、三遊亭円楽小遊三両師を招いて四十年後の本音を語った「三遊鼎談」を新たに収録。 

あくまでもこれは円丈師匠の目から見た落語協会分裂事件ではあるけれど、でも当時全て事後報告でただただ翻弄されるばかりだった円丈師匠が(名前が載らず「〇〇ら」という扱い)「いつかこのことを書いてやる」と思って書いたこの執念。そしてただの暴露本のようなものではなく、読み物としてちゃんと面白いことに感動。

何の後ろ盾もない状態で協会に復帰してから新作を作り続けて今に至るということがわかってるだけに、凄いとしか言いようがない。
正直、好きなタイプの噺家さんではないのだが、才能、執念、努力は並大抵のものではないと思った。

これを読んで一番喜んだのが先代の小さん師匠だったっていうのがまた面白い。
苦い物語ではあるけれど、面白かった。