りつこの読書と落語メモ

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ソロ (エクス・リブリス)

 

ソロ (エクス・リブリス)

ソロ (エクス・リブリス)

 

 ★★★★★

20世紀ブルガリアを生き抜いた100歳の盲目の老人の脳裏を去来する人生と夢。気鋭のインド系英国人作家による、世界18か国で翻訳された傑作長篇!2010年度英連邦作家賞受賞作。 

ブルガリアで生まれ育ち、不安定な政治に翻弄されて、夢をあきらめざるを得なかったウルリッヒ
90歳を越えて盲目になり近所の人の善意でどうにか生きている。

彼の人生が綴られた第一楽章「人生」は失意の連続で、いったいどうしたら幸せになれたのか、家族を捨てたらよかったのか、だとしても戦争になったら結局全てを失ったのではないか、と読んでいて陰鬱な気持ちになる。

第二楽章「白昼夢」はウルリッヒの想像した世界なのか、前半に出てきた登場人物たちが飛躍し躍動する。

「実際に生きるのは選択した人生だけどそこからはみ出た部分にも意味がないわけじゃない」という言葉が胸に沁みる。
想像すること、夢を見ることの素晴らしさ。現実が自分を裏切り続けたとしても…自分の人生が満足いくものではなかったとしても、想像すること夢見ることは自由でなにものをそれを奪うことはできない。

素晴らしかった。
再読すると最初に読んだときには気づかなかったことに気づけるような気がする。

エクス・リブリスいいなぁ。新潮クレストと同様、素晴らしいシリーズ。こういう本を出してくれることに感謝。