りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

ひとりはん治

4/4(水)、道楽亭で行われた「ひとりはん治」に行ってきた。

・小はだ「まんじゅうこわい
・はん治「旅のかかし」
~仲入り~
・はん治「鯛」

 

小はださん「まんじゅうこわい
高座に上がって何か挙動不審だったのでどうしたのかと思ったら、「今日は師匠からまくらをやってみろと言われてきました」と小はださん。
すごく緊張していて笑ってしまう。

何を言うのかと思ったら、「新宿2丁目という場所柄…というわけじゃないんですが。学生時代、私にも彼女というのもがいました」。
付き合い始めてデートを重ね、手がふれあうようなことになったとき、彼女から言われた衝撃の告白!
衝撃的なんだけど小はださんが赤い顔をしてたどたどしく話すのがすごくおかしくて笑ってしまう。
大丈夫大丈夫、どんなことも芸のこやし!と思わず肩をたたきたくなるような(笑)。

そんなドキドキのまくらから「まんじゅうこわい」。
これ、だれに教わったんだろう。すごくばかばかしくて面白い。小はださんらしからぬオーバーアクションが新鮮でおかしい。楽しかった!


はん治師匠「旅のかかし」
楽屋の思い出。
自分が前座だったころ、末廣亭の火鉢の前に、先代の小さん師匠に、小三治師匠、扇橋師匠が座って話をしていた。
テレビが付いていてそれを鏡越しに見ていた小さん師匠が「おい。宇宙に生物はいるのか?」。
聞かれた扇橋師匠が「ま、まあ…広い宇宙ですから…いるかもしれませんね」。
それを聞いた小さん師匠が「どこにいるんだ?」。
どう答えていいかわからない扇橋師匠が助けを求めるように小三治師匠を見たけど、出番の近い小三治師匠はネタ帳を見ていて知らんぷり。
それで扇橋師匠が「…火星じゃないですか」と答えると、小さん師匠が「…やっぱり火星か…」。

聞いていたはん治師匠は「この会話は何なんだ?!」と思ったというんだけど、おかしい~。
ほんと、どうでもいいような会話だけど、独特の緊張感が伝わってきて楽しいなぁ。

今日これからする噺が短いもんで…それで小はだに「なんでもいいからまくらをやってみろ」と言ったんですけど、私自身もまくらは苦手で、とはん治師匠。
いやでも面白いんだよ、はん治師匠のまくら。「いつもの」じゃなくてもすごく面白いから寄席でもどんどんやってほしいなぁ。

これからする噺は、一般から公募した新作台本で準優勝をとったもの。新作台本は圓丈さんとか小ゑんさんとか…新作の師匠方が全作品を読んでその中から「これ」といったものを選んで演者に割り当てるんですが、これ…当たったのが私じゃなかったらもっとウケたんじゃないかなぁ。それぐらいとてもよくできた噺です。

といって「旅のかかし」。
流れ者の男。お金も食べるものもなく畑で何か食べられるものはないかと探しているところを見つけられてしまう。
「おらが畑でなにするだ」と言われ「カカシをやってました」と苦しい言い訳。
しかしそれを聞いたお百姓が「なに?かかしを?じゃおらが畑を頼まれもしないのに守ってくれていたのか」。
そりゃ申し訳なかった。だったら続けてくれ、と言うと「じゃ(かかしを)やらせていただきます」。かかしをやりやすいようにと腕のところに棒切れを通し、背中にも棒を入れてよりかかれるように。
ただで畑を守ってもらうのは申し訳ないからと家に連れてきて酒や食べ物を振る舞うと、次の日は頼まれる前から早起きしてかかし。
結構ちゃんと鳥や動物を追い払ってくれるし、しかもいい男なので村の女性にも大人気。
ついには村の祭りで神事を頼まれたかかしは…。

のんびりした牧歌的な雰囲気と田舎の人たちの素朴な優しさが心地よく、それがはん治師匠の語り口とぴったりあってて楽しい~。
確かにとてもよくできた新作。はん治師匠、寄席でもどんどんかけていってほしいな。


はん治師匠「鯛」
二席目はテッパンの「鯛」。
もう文句なしに楽しい。そりゃもう楽しいに決まってるんだ。でもやっぱりせっかくだからいつもしない噺をかけてほしいのですよ、こういう会では。
ファンとは勝手なものなのです。