りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

さん助ドッポ

3/26(月)、お江戸両国亭で行われた「さん助ドッポ」に行ってきた。

・さん助 初代談洲楼燕枝の述「西海屋騒動」第十七回「孔雀丸」
~仲入り~
・さん助「三助の遊び」
・さん助「長屋の花見


さん助師匠 初代談洲楼燕枝の述「西海屋騒動」第十七回「孔雀丸」
いつものように立ち話。
3年ぐらい前から花粉症になってしまったさん助師匠。
高座の最中に鼻水が出てしまうことも(あるある)。
この間、会の後の打ち上げでお客様に「鼻水が気になって高座の内容を覚えてない」とまで言われてしまった(あるある)。
でも私も好きで出してるわけじゃないのでご勘弁願いたい。

…いやどうにかしてください。
ほんとに気になるんだよー。そこばっか気になっちゃうんだよー。ちゃんと治してー。

今回から西海屋騒動は義松が任侠の道に入り、出世していく話になっていくらしいのだが、こういう長い噺をやっていると全部が全部盛り上がる面白いところというわけにはいかない。
今日やるところのあらすじをこの会のお手伝いをしてくださってるUnaさんに説明したら「そうですか。じゃ今日やる噺は面白くもなんともないんですね」と言われました。

…ぶわははは。Unaさん最高!!
ほかのお客さんも全く同じ反応だったのがおかしくておかしくて。ここに来てるお客さん、みんなUnaさんが大好きだな~。もちろん私も。

そんなまくらから「西海屋騒動」第十七回「孔雀丸」。

お静を連れて木更津へたどり着いた義松。
二人がお茶屋でこのあたりの様子をあれこれ聞いていると、外がなにやら騒がしい。

揚羽の蝶兵衛の子分・入江の団次が、新宿の頼朝冠二の子分・鷲の三蔵に貸した三両を返せと迫っている。
もう少し待ってくれと頼む三蔵に「いや待てねぇ。今日という今日は返してもらう」と迫る団次。どうやらこの団次、もともと冠二の子分だったらしく「金を返さずに済む手が一つだけある。落ち目の冠二のところなんか出て蝶兵衛のところへ入れ」と三蔵に言うのだが、そう言われたとたん「俺はお前のように親分を裏切ったりしない!」と怒り出す三蔵。
あわやというところに義松が出て行って、三両を返せば許してやってくれるのか?と二人の間に割って入る。
見ず知らずの自分のような者を助けてくれるとは…と頭を下げる三蔵に、お前の親分を思う心に打たれた、と義松。何か事情がありそうだから話しを聞かせてくれないか、と言う。

お静も入れて茶屋に上がった3人。
義松が自分の身の上話をすると、三蔵も…。
もともとここは自分の親分・冠二の縄張りだったが、そこへ蝶兵衛が入り込んできて、ある時その下っ端同士で喧嘩になり御用となったのだが、蝶兵衛は奉行と通じていたらしく、蝶兵衛の方は百叩きの刑だったのに、冠二の方は島流し。そうなると冠二に付いていたものは次々蝶兵衛の方に行ってしまい、今では自分だけ。食うこともできず乞食同然になっている、と話す。
義松に向って自分と一緒に蝶兵衛を倒してくれないか、もしそれができた暁には二代目冠二を名乗ってくれ、と言う三蔵。

それを聞いていたお静が「蝶兵衛というのはこういう風貌のこういう男じゃないか?」と話に割って入ってくる。
「あねさん、蝶兵衛をご存じなんですか」と驚く三蔵にお静は自分が品川で女郎をやってた時、ずいぶんしつこく言い寄ってきていた男だ、と言う。
それを聞いた義松が「お静、お前半年ばかり体をよごしちゃくれねぇか」。
木更津でお静が女郎をやればすぐに評判になり蝶兵衛も通うようになるだろう。骨抜きになっているところへ踏み込めば倒すことができる、と。
あっけにとられる三蔵に「あたしの望みはお前を世に出すことだから、なんでもやる」と答えるお静だった…。

…かーーーーっ、もうほんとになんだそりゃ。「半年ばかり体をよごしちゃくれないか」って今まで聞いた中で3本の指に入るくらいムカつくセリフだわっ!
だいたい義松とお静は夫婦ですらないんだから。ただの不倫相手だぜ。しかも一度もいい目にあわせてやったこともないのになんだその言い草は。あほかっ!義松!クソが!
しかもお静も、ただちょっと岡惚れしただけなくせに「お前を世に出すことがあたしの望み」って…。ばかじゃなかろうか。ほんまもんのバカ女や!
どっちもどっちの馬鹿野郎どもだから勝手にすればいいけど、それにしてもなんだこの話!(怒)
悪人なら悪人でいいんだけど、なんか一貫性がなさすぎて腹が立つわー。
と言いながら来月も行くけど。


さん助師匠「三助の遊び」
西海屋を聞いて「怒!!」となったこちらの気持ちを察したのか「気を取り直して…」とさん助師匠。

ネタ出しされていた「長屋の花見」のほかにもう一席やります。「三助の遊び」をやるつもりなんですが、これは2年ぐらい前からやり始めて、そもそも「三助」をお客さんもわからない中でやってもウケないだろうと思っていたんですけど、初めて池袋演芸場でかけたらこれが存外ウケまして。それから何回かやってたんですけど、何回かやってるうちに「ここがウケる」とか意識するようになってしまって…良くないですね、それでしばらく封印してました。
それが前回こちらに来てくれたお客さんが、「三助が復活」という新聞記事をわざわざコピーして持ってきてくださいまして。
最後の三助は日暮里にいらしたんですけど、その人が辞めるということを言ってからずいぶん方々からお客が来たそうです。噺家でも行った人が結構いました。小満ん師匠が当時の若手を何名か連れて行った、という話も聞きました。

新しい三助は自由が丘で復活するけど、三助じゃなく「SANSUKE」?なんで英語にしちゃったんでしょう…。
あと尼崎でも復活したらしいです。そちらは日暮里の三助から直接教えを受けた「直伝」らしいです。
で、わざわざ教えてくださったその方のために…と思ったんですけど、今日その方いらしてないんです…。でもやろうと決めたのでやります。
と、「三助の遊び」。

前に聞いた時より整理された感じ。
そうそう。落ち着けば一人前なんだから落ち着いてやってね。それでいいのよ。って何様だ、おい。
花魁同士の内緒話のところがほんとに好き!なんかいかにも二流の花魁って感じ。部屋もそんなにきれいじゃないんだろうな。漂う場末感がたまらない。わははは。
楽しかった。

さん助師匠「長屋の花見
ネタ出しを見て、えー?さん助師匠が「長屋の花見」?そんな普通の噺をやるの?と驚いたのだけど、始まってからも「え?フツウ?普通だけど?」と…って失礼だな、おい。
ちゃんと面白いんだけど、でもフツウの「長屋の花見」だー意外ーと思っていたら、「酒柱が立ってます」でサゲずにその続きが。
どうしても酒が飲みたい長屋の二人が、近くでやってる大店には酒樽が2つあって一つはまだ開けてないから、二人で喧嘩の真似をして脅かして、やつらが逃げたすきに酒樽を持ってきちゃえ、と算段。
そして盗んできた酒でいい気持になっているところに、大店の連中のなかで特に酔っぱらってた者が文句を言いに来て…。

この悪だくみをする二人のぐだぐだしたやり取りと、へんちくりんな喧嘩の真似がおかしい~。
そうか、これをやりたくて「長屋の花見」をやったのね!
面白かった。