りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

末廣亭3月中席夜の部

3/16(金)、末廣亭3月中席夜の部に行ってきた。


・春輔「松田加賀」&かっぽれ
・一朝「短命」
~仲入り~
・さん助「茗荷宿」
・ホームラン 漫才
・馬るこ「真田小僧
・扇辰「紫檀楼古木」
・正楽 紙切り
・文蔵「試し酒」

春輔師匠「松田加賀」&かっぽれ
初めて聴く噺。
按摩にも階級があって一番上が検校。目が見えないので持ってる杖でお互いの階級がわかる。
ある時、通りで按摩同士がぶつかった。一方は検校でもう一方は小僧の按摩。小僧の方は身分の高い人にぶつかってしまったという恐れから声を発することができずぶるぶる震えてひたすら頭を下げるが、検校の方は小僧の分際で侘びも入れないのかとえらい剣幕。小僧を打ち据えてこれからお前の師匠のところに行って文句を言ってやると怒り狂っている。
まわりにいた野次馬が仲裁をしようとするが「検校」を「金魚」と間違えたりするものだから火に油をそそいだよう。

そこを通りかかったのが新道者の松田加賀。丁寧に検校に話しかけると自分の身分をきちんと理解した者が口をきいたというので気を良くした検校。「私は目が見えないのであなたがどういう方かわからない。名前を教えてください」。
「松田加賀」と名乗るとそれを松田と前田と聞き違え「お殿様でしたか」と聞き違え、「恐れ多いことを」とひれ伏す。
目が見えないからちょうどいいや、と松田が大仰に話しかけるとますます恐れ入って這いつくばる検校。
松田がいなくなったあともひれ伏しているので野次馬がどっと笑うとそれを聞いて検校が…。


春輔師匠の語り口が独特なので、ほんとにあったことのように光景が目に浮かんできてなんともいえない気持ちに。
いいなぁ、春輔師匠。かっぽれも、その前の前座さんとのくさい芝居も、全部楽しい。よかった~。


一朝師匠「短命」
楽しい!もうなんで「短命」がこんなに楽しいんだ。
「そこだよ」と言われて「え?どこ?」と脇を見るだけでおかしい。
おかみさんもすごい恐妻という感じじゃなく、たんに男らしい(笑)。
最初から最後までテンポがよくてばかばかしくて楽しかった。


さん助師匠「茗荷宿」
茗荷宿の主人とおかみさんの会話からこの二人が困窮していること、飛脚のハサミ箱を盗もうというほどの悪党じゃないけどもし忘れて行ってくれたらラッキーと思っていることがもう少しきちんと伝わってくれば、もっと納得感があると思うの。
何かそこらへんがばたばたしてるから、ん?ん?ってなっちゃうような…。
茗荷料理のメニューに独特のセンスがあるだけに惜しい!…ってどこまでも失礼だな。わははは。

馬るこ「真田小僧
きく麿師匠の代演というのを「ここには本来であればきく麿というデブが出るはずでしたが、違うデブが出てます」「顔付けを決める協会の事務員さんも芸歴とかそういうことじゃなく見た目で決めてることがよくわかりますね」「寄席というのはコース料理みたいなものなので、脂たっぷりの肉がでるはずだったところに脂の抜けたパサパサの草みたいのが出てきたらお客さんも驚くじゃないですか。だから脂身のところには脂身を、ということできく麿のところに私、です」には笑った。
スピード感があって独自のギャグも入ってて楽しい「真田小僧」。おかみさんが按摩さんの手をとるところを、ことさらにいやらしい手のつなぎ方をして見せたの、おかしかった。


文蔵師匠「試し酒」
一緒にお酒を飲もうと思って楽しみに支度をしていた大旦那。そう言われて腰の引けるもう片方の旦那。呼ばれて出てきた田舎者の久蔵。
人物がくっきりしていて、でも全然わざとらしいところがなくて、すごくよかった~。
久蔵のキャラクターがなんともいえずよくて…お酒もおいしそうだし、最初から最後まで楽しかった。