りつこの読書と落語メモ

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デルフィーヌの友情

 

デルフィーヌの友情 (フィクションの楽しみ)

デルフィーヌの友情 (フィクションの楽しみ)

 

 ★★★★★

 スランプに陥った新進作家のまえに現れた、謎めいたゴースト・ライター。急速に親しくなってゆく二人の女性をめぐる、恐怖のメタフィクション!

 いつも本の紹介文としてamazonの「内容」からコピーしてくるんだけど、↑なんか雑な紹介だなぁ…。

デルフィーヌという女性作家が主人公。彼女は自分の母親を題材にした自伝的な小説を発表しそれが話題を呼ぶのだが、その後にLという謎の女性と友だちになり徐々に彼女に取り込まれて行き執筆不能な状態に陥る。
Lとの出会いから始まりどのように彼女に呪縛されていったかを回想する、という形で語られる物語。

Lがどういう目的でデルフィーヌに近づいてきたのかは謎なのだが、明らかに不自然な言動があって、なぜデルフィーヌがそこに気づかなかったのか、自分の領域にどんどん踏み込んでくるLに抵抗できなかったのか、と思いつつも、もし自分が同じことをされたらやはりそうなってしまうのではないか、という恐怖が読んでいてじわじわと湧き上がってくる。

自分のことを真に理解してもらいたい、圧倒的に味方でいてほしい、一番大事にしていること(彼女にとったら書くこと)に寄り添ってもらいたい、そんな気持ちは自分にもある。ましてやいつもは自分の書きたいことと向き合って仕事をしてきた作家が、自分の書いた作品が思いのほか反響を呼んで、激しい悪意と自分の予想を超えた共感に迎えられた時、自分を真に理解してくれそうな人が現れたら…抗うことは難しいように思う。

大事な人との関係を一瞬で壊したくなる破壊衝動とか、話してもわかってもらえないもどかしさとか、とてもリアル。フィクション、リアルとはということにも触れられていて、作者自身の文学に対する考え方も伺えて、そこも面白かった。

でもこんな内容だと知っていた絶対に読まなかった。眠れない夜に読んでいて心臓がきゅーーーーっとなってますます眠れなくなったし、こういう心理的に追い詰められる内容は苦手だから。