りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

柳家はん治一門会

1/12(金)、小川町・多目的サロンレタスで行われた「柳家はん治一門会」に行ってきた。
はん治一門会って嬉しすぎる!
お友だちから「定員が少な目だから早めに予約しておいた方がいいよ」と言われ、年末に慌てて予約。
初めての会場だったので迷わないか不安だったけど、駅からとっても近くて、すごく素敵な空間。
始まる前にビールも飲めるし(!)高座も高くてとても見やすかった~。

・小はだ「転失気」
・はん治「子ほめ」
~仲入り~
・小はぜ「厄払い」
・はん治「猫の災難」


小はださん「転失気」
前座さんらしい余計なものをいれない素直な落語。
でもご本人の天然なキャラがちらっと見えるところがとても魅力的。
ちんねんさんが、お医者さまから「転失気」の意味を聞いた時に「へ?」と驚いたのが、間といい表情といい絶妙で大笑い。
とぼけたおかしさがあっていいなぁ。
二ツ目になるのが楽しみだなぁ。

はん治師匠「子ほめ」
毎年噺家がこの時期になると言うことは決まっていて「もう正月かよ」。
ほんとに年々1年が過ぎるのが早く感じるようになってきて、この間楽屋で雲助兄さんと喋った時もやっぱり同じことを言っていた。
うちの師匠は今年78歳だけど、師匠によれば「70過ぎたら笑っちゃうぐらい早く感じる」。

そんなまくらから「子ほめ」。
聞き飽きた噺もなんともいえずおかしい。
間、なのかな。それだけじゃないな。
物を知らないはっつぁんがほんとに知らないように見える。楽しい。

小はぜさん「厄払い」
初めての一門会をこうして開いていただけて本当にうれしい、と小はぜさん。
この一門会のことを知った時、ああ、小はぜさん嬉しいだろうなぁと思ったんだけど、やっぱり、ね。
でもこうして来てみると、楽屋で師匠をしくじることもありうるし、落語を間違えたりすると弟弟子の小はだに小言を言っても「でも兄さん落語間違えてたじゃないですか」と思われる可能性もあるわけで、喜んでる場合じゃなかった、というのが小はぜさんらしくて笑ってしまう。

この日、高座にははん治師匠の後ろ幕が張られていたんだけど、これは師匠が真打に昇進した時に地元のお客様たちが作ってくださったもの。
師匠の後ろ幕を背にして落語をできる機会なんて普通はないから嬉しい。
いいですよね、色合いといい…あんまりこういう色使わないですよね。八王子!って感じがします。さすが八王子だな、って。横浜だったらこういう色にはしないでしょう。

…ぶわははは。普通に聞いたら失礼にも思える発言だけど、小はぜさんだからそんなつもりは全くなくて素直にそう思ってるんだろうなぁ。
確かにとても素敵な後ろ幕だった。

そんなまくらから「厄払い」。
これで三連続「厄払い」。でも聞くたびにどんどんよくなっていってるから、「またか」と思わないんだよな。おもしろいもので。
そう考えると二ツ目なりたての噺家さんと何十年もやってる真打では、成長とか変化が全然違うってことなのかもしれない。
小はぜさんはほんとに今ぐんぐん成長していて、それを見るのを楽しんでいるのかもしれない、私も。


はん治師匠「猫の災難」
私事ですが昨年白内障の手術をしました、とはん治師匠。
群馬に腕のいい先生がいて噺家は結構大勢その先生のお世話になっている。
手術前は何日かお酒を控えていて手術してもらったあとに先生が「ところであなた今夜何か予定は?」。
一泊する予定なので特にないですと答えると、「じゃ飲みましょう」。
二人でしこたま飲んで次の日東京に帰ってきたんだけど、電車の中で少しなんか不穏な感じに。
その日は鈴本で代バネがあったんだけど、心臓が苦しくなってきてなんかおかしいぞ、と。
でもとりあえず楽屋に行けば人も大勢いるしどうにかなるだろうと鈴本へ。
支配人の方に話すと「それほどじゃないと思っても病院に行った方がいい」と言われ、病院へ。
調べてもらうと、脱水症状を起こしていたらしい。
点滴をしてもらってじきに具合はよくなった。

このことを師匠には内緒にしていたんだけど、じきに師匠の耳に入ってしまい、「お前もいい年なんだから酒を辞めろ」と言われてしまった。
あと自分は全然健康診断を受けてなかったんだけど、師匠に「ちゃんと一度検査を受けろ」と言われ病院まで紹介していただいてしまった。
その結果が出るのが明日。なので、今私はなんか…心配でもやもやしてるんです。

…ああ、楽しい。はん治師匠の話。
普段寄席では決まったまくらしか話さないはん治師匠。多分苦手意識があるんだと思うけど、こういう会で話してくれるともうなんともいえず楽しくて、もっとこういう話を寄席でもすればいいのになぁ、と思う。

そんなまくらから「猫の災難」。
はん治師匠の「猫の災難」、すごく聞きたかったから嬉しい!

「あー酒が飲みたい」ともだえるくまさんが本当に真に迫っていてたまらなくおかしい。
お隣から猫のおあまりの鯛をもらって、兄貴分が訪ねてきて酒を買ってきてくれることになって。
この兄貴分とくまさんとの関係が、すごく親しい友だちなんだなというのが伝わってきて、ちょっとびっくり。
今までそんなこと感じたことなかったのだ。

お酒を置いて兄貴が今度は鯛を買いに行ってしまったあと、飲みたくてたまらないくまさんが一人で飲み始めるんだけど、一杯目を飲み終わってからちらっと酒を見るその様子がもうたまらなくいじましくて…酒飲みの卑しさが出ていて、でもそれでいてかわいらしさがあって、すごくチャーミング。
こぼした酒を必死に吸い込むところもその酒を頭に塗りたくるところも、すごくおかしくて楽しくて。

こうなったらこれっぱかり残していても仕方ないと全部飲みほしてから、言い訳の稽古。
することがなくなると「早く帰ってくるがいいじゃないか」と勝手なことを言うんだけど、それも心からの言葉で笑ってしまう。

最初から最後までほんとに楽しい「猫の災難」。今まで見た「猫の災難」の中で一番好きだったなぁ。よかった。