星の子
★★★★
主人公・林ちひろは中学3年生。
出生直後から病弱だったちひろを救いたい一心で、
両親は「あやしい宗教」にのめり込んでいき、
その信仰は少しずつ家族を崩壊させていく。
前作『あひる』が芥川賞候補となった著者の新たなる代表作。
またなんとも感想の書きづらい作品。
怪しげな宗教団体に入ってしまった両親に育てられたちひろ。
もとはといえばちひろの病気を治したい一心だったこと、生まれた時からそういう状態だったこともあって、ちひろは宗教も親もすんなり受け入れている。
傍から見たら明らかに異常な両親の行動も、当事者にしてみたら当たり前のことでそこには愛しかないわけで…。
同じ空を見ていてもお互いに見えるものが違うように、人間の行動や心の中も断罪することはできないものだよなぁ…。
異質を認めることの難しさを思い知らされるなぁ…。
ラストシーンはちひろが両親と決別していくことを暗示するようで胸が痛む。