りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

末廣亭初席第二部、第三部

1/4(木)末廣亭初席第二部(途中)、第三部に行ってきた。

第二部
・可楽 漫談(イスラム教の国で落語をすれば)
・今丸 紙切り
小遊三金明竹(前半)」
~仲入り~
・米福「宝船」
・歌若 漫談(東北弁)
・まねき猫 ものまね
・幸丸 漫談(年賀状)
・米助 漫談(ガッツ石松長嶋茂雄)、「猫と金魚」
・喜楽・喜乃 太神楽
・竹丸 漫談、「西郷隆盛

第三部
・竹わ「味噌豆」
・宮治「反対俥」
・真理 漫談
・可風 漫談(かわいいおじいちゃん)
今輔「バーバーばば」
・小天華 マジック
・柏枝 踊り(どうぞ叶えて)
・京丸・京平 漫才
・富丸 漫談
・金遊「出張中」
・うめ吉 俗曲
・夢太朗 酒のまくら
~仲入り~
・寿獅子
・南なん「羽織の紐」(?)
雷蔵「やかん」
Wモアモア 漫才
・右左喜 漫談
・蝠丸「弥次郎」
・伸 マジック
・文治「鈴ヶ森」

可楽師匠 漫談
自分は持ちネタがたくさんあったのにもうみんなできなくなって、今できるのは1つか2つ。
それでもこうして出てきたらお客さんをなんか言って笑わせなきゃなんない。
そんなことを言いながら、若いころに行った海外公演の話。
イスラム教の国にも日本人はいて落語を聞きたいと言うので回ったことがある。
そこで落語をするときは、頭に白い布をまいて…。今日持ってきたんだ。

と言って、白い木綿の布を頭にのせて、「これだけじゃだめ。」と言って、黒い紐?のようなものをぱかっとはめて、「まだ足りない。男はひげがないとだめ。ひげがないとおかまと思われちゃうから」と言って付け髭。

…ぶわははは。
まさか可楽師匠からこんな話を聞けるとは思わなかったので、びっくりしたし、大笑い。
なんかすごいなー。

小遊三師匠「金明竹(前半)」
こういう顔見世興行でもまくらはほとんどふらずに落語をやる小遊三師匠が大好き。
小遊三師匠の「金明竹」は何回も見ているけど、与太郎がほんとに楽しそう。
くいっと身体を斜めにする動きがおかしい。


まねき猫先生 ものまね
小さい犬から大きい犬への変身(鳴き声)や、初代猫八先生のレコードで聞いたにわとりの鳴き声、最後はおめでたく(!)さかりがついた猫(雄と雌)の鳴き声。いつもと一味違っていてそれがすごく楽しかった。


竹丸師匠「西郷隆盛
いつも同じ漫談で、その中で弟子が来た時に「たくさん噺家さんを見たけど、竹丸師匠が落語が一番上手だった」と言われたと言っていて、「あなたの落語はどこで見られるの?」と思っていたんだけど、ついに見た!
と言っても、ほぼ全部漫談で、その中に自分の故郷は鹿児島で、鹿児島と言えば西郷さんで…という流れから「西郷隆盛」の噺。
正直言って、いつも同じ漫談で全然おもろない…手抜き!と思っていたけど、大勢のお客さんを巻き込んで、ゆるーい漫談から落語、また漫談という流れ。初めてちょっと面白いと思った。
ってすごい失礼な物言いだな。すびばせん。


竹わさん「味噌豆」
聴きやすいし面白い。豆もおいしそうだったな。


今輔師匠「バーバーばば」
自分がよく行くラーメン屋の強烈な話(値段設定がおかしい、メニューの日本語がカタコト、店が汚い)から「バーバーばば」。
この日のお客さんにはあんまり合わなかったのか笑いが少な目だったけど、私は面白かった。
好きなんだ、今輔師匠。


柏枝師匠 踊り(どうぞ叶えて)
落語をやらずに踊ります、っていうのにも驚いたけど、この踊りがまたすっごくおかしくて。
「どうぞ叶えて」最初はかわいい娘さん編。
好きな人に会えますようにと神様にお祈りする娘さん。帰り道、意中の人とすれ違って、うれしはずかし…上目遣いでちらちら見て「こっちを向け」と念を送る。
なよなよした動きがすごくきれいで女性らしくてびっくり。
しかもそのあと今度は同じ曲でおばあさん編。
やる前に「これはスミ師匠に教わったものでして伝統芸能なので…決して老人をバカにしているというわけではありませんどうぞお怒りになりませんように…。」と。
着物をぐっと着崩して(「おばあさんというのはこういうふうに着物が上がって…おっぱいも見えちゃったりします」)よぼよぼ歩き。
すごく強烈なんだけど、全然下品じゃなくてきれいで、でもばかばかしくて、びっくりしたー。
ほんとにこの師匠にはいつもびっくりさせられるなぁ。


金遊師匠「出張中」
いつもの「5にこだわる男」のまくらのあと、「出張中」。
金遊師匠が「出張中」っていう意外性がたまらない。
動きも声も小さめだけど、面白い。好き。


南なん「羽織の紐」(?)
出囃子が聞こえた時、ちょっと泣きそうに…。
会いたかったよー南なん師匠ー。
でも行くたびに「不動坊」にばかり当たってしまい、それでがっかりする自分が嫌で、しばらく南なん断ちをしていたのだった。
ほんとにファンって勝手なもので、好きで追いかけて何度も見に行って、同じ噺が続くと落ち込んで、でも行ってない時に聞きたかった噺をしたことがわかるとまた落ち込んで…こんな自分がめんどくさいよ、ふんとにもう…。
短い持ち時間でなんと初めて聞く噺。タイトルも不明。

家に帰ってきた子どもが服をひどく汚しているので怒るおかあさん。
すると子どもは「かあさん、ぼくをぶつでしょ」と覚悟している様子。
いったいどうしたらこんなに汚れるのだと聞くと、野球をやった、と。
でも一緒に野球をした友だちは誰もあんたみたいに汚れないとおかあさんが言うと「みんなはグローブを持ってるから。僕はグローブがないから体で球を受けるしかないんだ。グローブがなくて僕が球を落としてチームが負けるとみんなに申し訳ないから体で受けてるんだ。だから僕だけ汚れてるんだ」。
「だったらグローブを貸してもらえばいいじゃない」とおかあさんが言うと「みんな自分のグローブを大事にしていて手入れをして使ってるから軽々しく借りれない。先生もむやみに人にものを借りるなって言ってた。だから僕は体で受けるしかない。球に当たってたとえ腕が折れても…胸に当たって骨が折れても…頭に当たって頭蓋骨が砕けても」。

「だったらグローブを買ってあげるわよ」とおかあさんが言うと「ほんと?!ほんとに?でも安いやつでいいからね。一番安いやつ。ペラペラの生地ですぐに穴が開いても繕って大事に使うから」
「…一番いいやつを買ってあげるから」
「ほんとに?」

息子が去った後「あら。うまい具合にやられちゃったわ」とおかあさん。
「でも同じことを亭主にやったら私も買ってもらえるかもしれない」。

帰ってきた亭主に「羽織の紐が切れちゃったの。困ったわ。だけどどうにか一本の紐を結んで使うわ」と言うと「だったら羽織の紐を買えばいい」。
「ほんと?うれしい。あ、でもやっぱりいいわ…」
「なんで?」
「紐はあっても羽織がないもの…。羽織なしで私は紐をこうやってこうやって…どうにかやるわ」
「だったら羽織も買ってやるよ」
「ほんと?うれしい。あ、でもやっぱりいいわ…。だって羽織はあっても着物がないもの…」
「だったら着物も…」
「あ、でもいいわ…。だって…」

…短くてシュールでばかばかしくて楽しい。
南なん師匠がこういう新作っぽい噺(芸協噺なのかなぁ)をするのも意外だったし、奥さんがなんともいえずチャーミングで楽しかった~。


蝠丸師匠「弥次郎」
座るなり「北海道は寒いっ!」と大きな声。
言った後に「あ、噺に入りました」。

ぶわはははは。もう出だしから最高なんだけど。

何かと思ったら弥次郎。
そしてやりとりを1つしたあとに「こういうのが延々続きます。ダジャレの連続です。」

ただの弥次郎じゃなく、ちょいちょい蝠丸師匠らしいギャグが入るのがなんか意表をついていて、もうおかしくておかしくて。
なのにお客さんが結構ポカーンなのがまたおかしくて。
しかも途中で終わった?みたいになって腰を浮かせて下がりかけてまた戻って来て「まだ終わってません」。
フェイクの極みみたいな高座で楽しかった~。


これが私の2018年落語はじめ。
二部の途中から入ったんだけど、二階席も開いていていっぱいのお客さん。
持ち時間が短いから漫談だけの人も多かったけど、面白いのもあればクソつまらないのもあり…。
幸丸師匠って正直好きなタイプではないけど、年賀状の漫談、めちゃくちゃ面白かった。笑った笑った。
そして面白くない人ほど「まだお分かりでない方がいらっしゃる」「わからない人置いていきますよ」を連発するんだよな…。
わからないわけじゃなくてつまらないんですけど。つまらないってわからないでいつも同じのをやってるあなたがすごいよ、むしろ。

二部が終わったらお客さんがどっと帰ったのでそれにもびっくり。
一部と二部は入れ替え制だから、みんな出ないといけないと思ったのか?あるいは休みの日の午後のイベントっていう感覚なのか。
混んでる寄席に行くのはやだなー初席は行かなくてもいいかーと思ったけど、獅子舞も楽しいしやっぱり行ってよかった。満足。