りつこの読書と落語メモ

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本寸法・噺を聴く会~第73回~. 林家正雀・柳家蝠丸二人会【その3】

12/23(土)、武蔵境商連ファミリースタンプ会議で行われた「本寸法・噺を聴く会~第73回~. 林家正雀柳家蝠丸二人会」に行ってきた。

 

正雀「一人酒盛り」
・蝠丸「死神」
~仲入り~
・蝠丸「安兵衛狐」
正雀文七元結

正雀師匠「一人酒盛り」
お酒のしくじりのまくら。
いただいたご祝儀をいくらあるんだろうと電車の中でとり出してそのままお札を手でつかんだ状態で寝入ってしまった。
すると誰かが自分を揺り動かして声をかけてくる。なにごと?と思って目を開けると「それ、しまったほうがいいですよ」。
お札をさっと抜き取ることもできただろうに、わざわざ起こして注意をしてくれた人がいた。ありがたい。
自分は寝上戸なので、酒を飲んでこういう失敗はしょっちゅう。

先輩の小里ん師匠と志ん橋師匠は大の仲良し。二人で渋谷で飲んでいたら朝の3時になってしまった。2時間待てば始発が動き出すからとそのまま飲み続け5時になって別れてそれぞれ始発へ。
小里ん師匠は家が浅草なので渋谷から銀座線。乗り込んで「やれ、これで帰れる」とほっとして、ハッと気づいたら1時間がたっていて、渋谷にいた。
浅草まで行って戻ってきてしまったのだ。
浅草へ行くには階段を使って別のホームへ行かないといけない。
やれやれと思いながらまた電車に乗り込んで今度こそ家へ…と思っていて、ハッと気づいたらまた渋谷。
これを繰り返し3回渋谷に戻ってきた。

…ぶわはははは。最高。
そんなまくらから「一人酒盛り」、初めて聞く噺。
知り合いから「酒のもと」をもらったという男。友だちのとめさんを呼んで「一緒に飲もう」と言いながら、とめさんに刺身を買いに行かせたり火をおこさせたり漬物を切らせたり…あれこれ言いつけてとめさんを持ち上げるだけ持ち上げて酒は一人で飲んじゃう。
何度か飲めそうになるのに結局飲めないとめさんがかわいそう!
一人で飲んで一人で気持ち良くなる男の気持ちのよさそうなこと。
正雀師匠ってかたい噺をかたくやる師匠っていうイメージが強かったから、こんなに面白いとは思わなかった。楽しかった。

蝠丸師匠「死神」
久しぶりの蝠丸師匠。うれしい~!
歌丸師匠と一二を争うほど痩せている蝠丸師匠。今までの人生で一度も太ったことがないんだけど健康そのもの。病気一つしたことがないので行きつけの病院を持っていない。
2年ぐらい前に原因不明の病で何を食べてももどしてしまい仕事も休むはめに。
行きつけの病院がないので地元駅前の病院に駆け込んだ。
するとそこの先生、蝠丸師匠の顔を見るなり、「ひでぇ顔してるなぁ…!」。
具合が悪いから行った病院で医者に「ひでぇ顔してる」って言われるって!「大丈夫ですよ。治りますよ」と言ってほしいのに…そう言うべきじゃないですか、医者だったら。それを「ひでぇ顔」って…!
さらにお腹を見ましょうと言われて裸になるとまたこの医者が「ああ、どうしてこんなになるまで放っておいたの!」。
い、いえ、べつに放っておいたわけじゃなくて、ずーーっとこういう痩せた体で元気に生きてきたわけで、病のせいで「こんな体」になったわけじゃありません!
そう思いながらも思わず口をついて出たのは「どうもすみません」。

…ぶわはははは。おかしい~。
そんなまくらから「死神」。
ちょこちょこ入るくすぐりがたまらなく楽しくてくすくす笑える。
なんたって呪文が「あじゃらかもくれんバイアグラ」。足元から死神がいなくなって元気になった病人が「吉原に行きたいー!」「お、バイアグラが効いたんですな」。
蝋燭のある場所に連れて行かれた時も「お、あそこに集団で元気に燃え盛っている蝋燭が」「あ、あれは、武蔵境に落語を聞きに来てる人たちの寿命です」。

蝠丸師匠らしい、軽くて楽しい「死神」だなぁ。この師匠のほどの良さが好きだなぁ。


蝠丸師匠「安兵衛狐」
トリがたっぷりなのでここは軽めにと「安兵衛狐」。
源兵衛さんの変人ぶりが強調されていて、最初から墓見に行くつもりで谷中へ出かけ、女の墓の前であれこれ喋りながら酒を飲む。
女房をもらったなら言ってよ~と安兵衛が訪ねてくるのは次の日。
いい女だった~と羨ましがる安兵衛に「女房をもらうなら幽霊に限るよ」とのろける源兵衛。

短めだったけど、なんかふわふわと楽しい「安兵衛狐」。それにしてもなんか定まらない噺だな、これって(笑)。


正雀師匠「文七元結
今まで正雀師匠って寄席でしか見たことなかったけど、結構表情豊かできびきびしているんだな、とちょっとびっくり。
なんとなく寄席で見ると他の噺家さんに比べてかためで控えめ、という印象だったのだ。

店の主人が貫禄があって品があっていい感じ。
こんなにいい旦那だったら、ちゃんと話せば赦してもらえる、と思いそうなもんだけどな…。文七って…。
お金を返すと言われた時には激しく拒むのに、お酒は喜んでもらう親方が好きだな(笑)。


二人で二席ずつ、たっぷり聞けて満足満足。
武蔵境って遠い!と思ってたけど、そんなでもなかったし、お買物券もいただいたから、また行きたいな。