りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

中野新橋寄席

12/12(火)、八津御嶽神社で行われた中野新橋寄席に行ってきた。

・小はぜ「厄払い」
・今松「家見舞い」
~仲入り~
・今松「火事息子」

小はぜさん「厄払い」
今年からこの会に呼んでいただけるようになってうれしい…できれば来年も引き続き呼んでいただけたらいいんですが、と小はぜさん。
今年も残すところあとわずか。世間はそれを喜んでるようですけど、私は年が明けることをそんなに手放しに喜べない。
明けたからっていいことが待ってるとは限らないよ。今年がずっと続いていっそ明けなければいいのに…。

ネガティヴな発言も小はぜさんに言われるとなぜか微笑んでしまう。
愚痴っぽい感じがないからかなぁ。

そんなまくらから「厄払い」。
ここに出てくる与太郎さん。
明らかに「読んでる」口上だったり、お客さんにぜーんぶネタバラシしちゃったり豆をもらって食べてお茶と楊枝をほしがったり…。やってることは結構ひどいけどなんか憎めないキャラクターだな。
この時期でないと聞けない噺。楽しかった。


今松師匠「家見舞い」
今松師匠の「家見舞い」は寄席で聞いたことがあるけど、楽しい~。
仲間外れにされた二人が常にお金がないのが二人の会話から見えてきて、なんともいえずおかしい。
「ま、そりゃそうだな、ないから誘われなかったんだもんな。道理にかなってるわ」。

兄貴分の家でごちそうになってるとき「これは瓶の水…」と食べずに考え込んでる弟分の姿が浮かんできて、それに笑ってしまう。
楽しかった。


今松師匠「火事息子」
近くで火事があって大慌てしたものの自分の店にまでは火がまわらないとわかってほっとして番頭さんとお茶を飲んでいる大旦那。
定吉から「目塗りもしないとはひどい」と近所の人たちが噂していると聞いて世間の手前目塗りをしなきゃと言う大旦那はとても実利的で大店の大旦那らしい鷹揚な感じがする。
一方番頭さんの方はよく気が付いてちょこまかした感じ。

ハシゴにのぼったものの下から投げられた目塗り用の土を受け取ることができない番頭と大旦那とのやりとりはなんともいえずおかしい。
にっちもさっちもいかない二人を見かねたように屋根の上をつたってやってくる火消しになった一人息子。
まくらで火消しは何かと評判は悪かったけど、きれいな男が多かったというのを聞いていたので、その美しい姿が浮かんでくる。

親子を引き合わせようと大旦那を説得する番頭さんに、じーん…。
そして猫を放り出して息子に会いにくる母親のどこからどこまでも甘い愛に、笑いと涙が沸きあがってくる。
火事が好きだから火事があったら息子が帰ってくるんじゃないかと火事を心待ちにしていたとまで言うおかみさんに思わず笑ってしまうけれど、その気持ちわかるなぁ…。
おかみさんがそういう反応をするとわかっているから大旦那も安心して厳しいことを言えるのかもしれない。

全く大仰なところのない、とてもさっぱりとした「火事息子」だったけれど、親子の情が伝わってきて、とてもよかった。素敵だった。