りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

馬治丹精会

12/11(月)、内幸町ホールで行われた「馬治丹精会」に行ってきた。

・寿伴「まんじゅうこわい
・馬治「居酒屋」
・ペペ桜井 ギター漫談
~仲入り~
・馬治「芝浜」


馬治師匠「居酒屋」
聞きなれたお酒のまくらで(にわとり上戸、壁塗り上戸、苦虫かみつぶし)笑ってしまう。こういう酒飲みいるいる!というのがおかしくておかしくて。
ネタ出しされていた「居酒屋」。好きなんだよなぁ、この噺。ばかばかしくて罪がなくて。酔っ払いに絡まれる方はいい迷惑だろうけど。
早く帰ってほしい小僧さんと帰りたくない酔っ払い。何か歌えと言われた小僧が「蛍の光」を歌い出したのに大笑い。その後「君が代」で酔っ払いが「背筋が伸びちゃうだろ!」。

兄貴分が迎えに来てからのグズグズ具合も最高~。
あきれながら、そして人目を気にしながら世話をやく兄貴分と、ぐでぐでに酔っぱらっててお世話されながら兄貴に「申し訳ない」と多少は思ってる酔っ払いの対比が楽しかった~。

ペペ桜井先生 ギター漫談
ゲストがペペ先生って嬉しい~。いつものネタだけど嬉しくて全部笑ってしまう。
歌いながらハーモニカって寄席ではあんまり見たことないから得した気分。
めちゃくちゃばかばかしくて最高だった。ラブ。


馬治師匠「芝浜」
「居酒屋」をネタ出しして、ネタ出ししないで最後に「芝浜」やるって…すてき。
多分逆だったら行かなかったかも…。そんなに「芝浜」好きじゃないんだ。
だけどすごく良かったのだ、これが。

始まりが「お前さん起きておくれよ」じゃなくて、酒好きのくまさんがどんどん酒におぼれていって仕事で信用を失って、さらに酒に逃げるようになってしまうところから。
またくまさんが芝の浜で財布を拾う場面もなかったり…いろいろ違っていて馬治師匠の工夫なのかな。
あの「いつもの」形じゃなくて、それがすごくよかった。

財布を拾って五十両入っていると分かった時にくまさんが「これで遊んで暮らせる!おれはもう二度と仕事はしねぇ」というんだけど、その言い方がおかしくもあり情けなくもありで、おかみさんが不安な気持ちになるのがとてもよくわかる。
夢だと言い張るおかみさんに最初のうちは「そんなわけねぇだろう」と言っていたくまさんも、あれ?そうだっけ?あ、そう言われれば…あちゃーーってなるのもリアルだし、くまさんの人の好さもあらわれていて、とてもいい。
もうだめだ死のうというくまさんに「死ぬ気になって働けばどうってことないよ」と答えるおかみさん。「そうかな」とおかみさんに頼っているところが憎めない。

そうとなればさっそくすぐに市に行くよ、でも道具が…と言うくまさんにおかみさんが前の日と同じセリフで答えると「なーんか覚えがあるんだよな」。
全体的に笑いどころがたくさんあって、人情人情してなくて好きだなー。

3年たって、お客さんの喜ぶ顔を見るのが何よりうれしいというくまさんにおかみさんが3年前のことを告白すると、最初は「俺があの時どれだけ情けない気持ちになったか」とおかみさんに手をあげようとするくまさん。
おかみさんの話を最後まで聞くと「ありがとうございます」と丁寧になるくまさん。
くまさんの人の好さと人間の弱さが出ていて、馬治師匠らしいチャーミングな「芝浜」だった。