りつこの読書と落語メモ

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僕が殺した人と僕を殺した人

 

僕が殺した人と僕を殺した人

僕が殺した人と僕を殺した人

 

 ★★★★★

選考会で絶賛された​直木賞​​受賞作『流』を経て生まれた、圧倒的青春小説! 1984年​、台湾​。13歳だった。 夏休みが終わる​ほんの​2日前、ぼくたちの人生はここから大きく狂いはじめたんだ。 2015年冬、アメリカで連続殺人鬼「サックマン」が逮捕された。デトロイトの荒んだ街並みを見つめながら、「わたし」は、台湾で過ごした少年時代を想い出していく。三十年前、わたしはサックマンを知っていた――。 1984年夏、​台北​で、兄をなくしたばかりのユン、牛肉麺屋のアガンと弟のダーダー、喧嘩っ早くて正義感の強いジェイは友情を育んでいた。四人の少年たちは、ある計画を実行することに決めた……。 サックマンとは誰なのか? その謎をめぐる青春ミステリー。

とても面白かった。

台湾を舞台に家庭に問題がある少年3人が友情を育み心を通わせそして悲劇へと向かっていく。
「わたし」ユンは、6つ年上でガキ大将的な存在であった兄モウが殺され、失意からうつ病になってしまった母と自分に対してどこか上の空の父の3人家族。母の治療のため二人はアメリカへ行ってしまい、残されたユンは幼馴染アガンの家に預けられる。
アガンの家は牛肉麺屋を営んでいてユンは店を手伝うのだが、その優等生面が気に入らないとアガンに辛く当たられている。
牛肉麺屋はアガンの母が切り盛りしており父親アホンは洗い物を手伝う程度。他の女にちょっかい出したりしているのだが、ユンのことを温かく見守ってくれる。

アガンは同級生で不良のジェイに夢中で、アガンに頼まれたジェイはユンのことを徹底的に痛めつけてくるのだが、ジェイ自身も母の再婚した相手からいつもものすごい暴力を振るわれているのだった。

ジェイがユンを「とっちめた」ことがきっかけとなって、3人は仲良くなる。
アガンの弟ダーダーも加わってブレイクダンスの練習をしたり、バッシュを盗んだり…。決して恵まれた環境ではない彼らだけどその中で精いっぱい手足を伸ばしてもがく姿に胸をしめつけられつつ楽しく読んだ前半。

それが冒頭の殺人鬼「サックマン」とどう繋がっていくのかと思っていたのだが、後半になって目線が入れ替わるところとこのタイトルが実に巧妙に効いていて「うぉおお」と思わず声が出た。

少年たちの成長の物語でもありミステリーとしての面白さもたっぷり。
「流」に引き続き素晴らしかった。他の作品も読んでみたい。