りつこの読書と落語メモ

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今夜、すベてのバーで

 

今夜、すベてのバーで (講談社文庫)

今夜、すベてのバーで (講談社文庫)

 

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 薄紫の香腺液の結晶を、澄んだ水に落とす。甘酸っぱく、すがすがしい香りがひろがり、それを一口ふくむと、口の中で冷たい玉がはじけるような……。アルコールにとりつかれた男・小島容(いるる)が往き来する、幻覚の世界と妙に覚めた日常そして周囲の個性的な人々を描いた傑作長篇小説。吉川英治文学新人賞受賞作。薄紫の香腺液の結晶を、澄んだ水に落とす。甘酸っぱく、すがすがしい香りがひろがり、それを一口ふくむと、口の中で冷たい玉がはじけるような……。アルコールにとりつかれた男・小島容(いるる)が往き来する、幻覚の世界と妙に覚めた日常そして周囲の個性的な人々を描いた傑作長篇小説。吉川英治文学新人賞受賞作。

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面白かった。

巻末の対談を読むとアル中や入院中に出会った人とのエピソードはらもさんの体験に基づいた話のようだが、いやぁ…壮絶だなぁ。そしてらもさんの早すぎる死を知っているだけに、なんて破滅的な生き方だったんだろうと思う。

アル中について書いてる本を肴にウィスキーを毎日一瓶あける主人公の皮肉なことよ。
知識があったり自分のことを俯瞰して見る冷静さがあっても、何かに依存してしまいにっちもさっちもいかなくなってしまう。人間って弱いものだよなぁ…。

何かに依存せずにはいられない弱さと愛する人のために立ち直ろうと決意する優しさ。両方あるのが人間で、特にアルコールについては自分も決して他人事ではなく…作中のアルコール依存症テストではしっかり「重篤」で、まずいなーという想いを新たにした。

霊安室で医者と殴りあうところとラストがとても美しく強烈な印象を残す。また死者は卑怯だというさやかの言葉が心に残る。

人間の弱さや脆さを見せつけられるようだが、それでもどこか達観した明るさとユーモアがあってそこが独特だ。よかったー。
中島らも作品、もっと読もう。