りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

結婚のアマチュア

 

結婚のアマチュア (文春文庫)

結婚のアマチュア (文春文庫)

 

 ★★★★★

 結婚30周年を祝うパーティが開かれた晩、「それなりに楽しい結婚生活だったわよね」と振り返るポリーンに、「地獄だった」と夫のマイケルはつぶやく。それはいつもの夫婦喧嘩のはずだったのだが―どこにでもいる夫婦の60年間を、円熟味あふれる筆致で巧みに描く。しみじみおかしくてほろ苦い“身につまされる”小説。

アンタイラー再読三冊目。

パールハーバーの日に出会い劇的なひとめぼれをし結婚したマイケルとポリーン
恋愛ドラマであればそこで「めでたしめでたし」で終わるところだが、結婚はゴールではないし恋愛感情も永遠に続くわけではないので、それからの60年がそれぞれの視点から語られる。

長い結婚生活の間にお互いの嫌なところが目に付いたり性格の不一致が浮き彫りになったり、お互いの弱みをしっているだけに喧嘩の時に急所を突いてしまったり…。

特にポリーンのように直情的な性格だと喧嘩の絶える時がないわけで。
マイケルの悲嘆や後悔もわからないではないけれど、それでもポリーンにもいいところはたくさんあるわけで。

そんな結婚生活を「それなりに幸せ」と思うか「地獄」と思うかはお互いに感じ方にもよるし性格にもよるのだろう。

結婚30周年目にマイケルが起こした行動には読んでるこちらもびっくりし傷ついた…。くーーーそういう展開もありかー。
アンタイラーは本当にその人のキラッと光るところを描くのがうまいからなんどかぐっときて泣いてしまった。

特に後半の末っ子ジョージの語りがとてもいい。夫婦って…家族って…。相性もあるししんどいことも多いけどなくてはならないものだよなぁ、としみじみ。
よかったー。再読してアンタイラーの描く世界が本当に好きだということを実感している。